『城さんは自分の息子にどんなアドバイスをしますか?』(学生・男) 城繁幸の非エリートキャリア相談
処方箋:『自分だけの目的地はどこか』
そんな中、人生の先輩として、自分の子供には何をしてやるべきでしょうか。私なら、最低でも大学4年間の間に、自分の進むべき方向性を見つけることをアドバイスします。なにか学びたいものがあるか、極めたい分野があるのか。あるいはワークスタイルとして、お金で選ぶか、それとも安定性を重視するか。
もっとも、周囲に流されがちな学生にとって、これを見抜くのは至難の業です。たとえば近年、外資系企業を志望する学生が急増していますが、彼らの全部が全部、完全実力主義的なライフプランを持っているわけではありません。極端な話、「日本企業より割がいいらしいから自分もそうしよう」レベルの人も多いんですね。
では、普段意識することの無い自分自身の価値観を見つけるにはどうするか。それには、実際に企業内で働いてみることが一番です。
現在、大手から中小まで、インターンシップとして学生を受け入れる企業が増えています。特に中小企業やベンチャーの場合、募集期間も年齢もフリーで、賃金も労働分きっちり支払うところが珍しくありません。安易に時給の良いバイトに走るのではなく、社会経験という価値も考慮しつつ、興味のある業種に潜り込んでみるべきでしょう。
それでも会社選びに失敗した場合、あるいは、就職活動で希望通りの企業に就職できなかった場合はどうするか。まだまだチャンスはあります。入社3年以内対象の第二新卒市場では、新卒採用同様にポテンシャル評価が基本であり、異業種へのキャリアチェンジも十分可能です。なので、その期間に自分の本当に希望する企業への転職を目指せばよいでしょう。
要するに、就職を挟んで、インターンと第二新卒期間の前後5年くらいを、一つの就職活動期間と捉えて動けばいいわけです。
最後に。私は金銭的な安定だけを成功の基準とする考えには反対です。やりがいや自分だけの理想を追求すること、あるいは仕事は必要悪と割り切って、ワークライフバランスを重視する生き方もアリでしょう。
本来、誰でも自分だけの動機を持っているはずです。それを押し殺したまま就職し、仕事人間に追いやられることで、多くの人が「あれ?」と感じてしまうわけです。
ですから親として「とにかくこうしろ、そうすれば安泰だから」とは言わないでしょう。かわりに「何をどうしたいか。それは自分で決めろ」と言うはずです。それを見つけることこそ、幸せへのもっとも確実な切符なのですから。
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