なぜ今さら?欧州鉄道で「客車」見直しの兆し 日本では廃れたが柔軟性や低コストで再評価
オーストリア連邦鉄道(ÖBB)は7月23日、日中の都市間特急列車用、および夜行列車用の新型客車を製造するメーカーとして、優先入札者にドイツのシーメンスを選定したと発表した。初回の発注総額は、3億7500万ユーロ(約487億5000万円)に上り、その後の追加発注オプションも含まれている。
今回の入札にはボンバルディアも参加していたが、シーメンスが勝ち取った形となった。同社が提案したのはオーストリア鉄道の優等列車「レイルジェット」で実績のある「ヴィアッジョ(Viaggio)」タイプであると言われており、車体や足回りなどは、ほぼ共通のものが用意されるとみられる。一方のボンバルディアは中国企業と手を組み、一部に中国製の部品を用いることで、コストを抑えた車両を提案していたとされる。
新型客車の使いみちは
オーストリア鉄道によれば、9両で構成される都市間特急用客車は、合計で8編成が製造される計画だ。これは2021年から新防災基準が施行され、従来の客車は改造しなければ乗り入れができなくなる、イタリアへの国際特急列車「ユーロシティ」へ投入するのが主な目的となっている。
一方の夜行列車については、同国の看板列車「ナイトジェット」で使用する予定だ。ナイトジェットは現在、ドイツから譲り受けた42両の寝台車と15両の簡易寝台車(クシェット)などを中心に運行されているが、特にクシェットは1970年代に製造された旧型車両が多く、早急な更新が必要とされていた。
寝台車は製造が2003年以降と比較的新しいため、今後予定されているナイトジェットの新路線開設に伴う不足分へ充てられることになっている。具体的な製造台数に関しては明言されなかったが、合計で13編成が製造される予定とだけ発表されている。現行のナイトジェットがおおむね10両程度で運行されていることから、13編成だとかなりまとまった数の車両が製造されることが予想されるが、詳細については契約の正式調印後にあらためて発表されるという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら