「エクストレイル」が意外と売れ続ける理由 日産のSUV、発売5年目で見せる大健闘
エクストレイルは、2000年に初代が登場したSUVで、200万円で手に入る4輪駆動車という触れ込みで人気を博した。当時の競合は、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」である。
技術面で、エクストレイルが誇ったのは、センターデファレンシャルは持たないものの、「スカイラインGT‐R」の方式を基にした湿式多板クラッチ式の4輪駆動で、ビスカスカップリングを用いる方式に比べ、より本格的に4輪駆動を発揮させる機能的強みを持っていた。湿式多板クラッチをしっかり締結することにより、センターデファレンシャルをロックしたように駆動力を前後50対50で配分し、4輪で確実に前進させる能力を持つ。本格派と言っていい4輪駆動制御を行えるのが特徴だ。
それに対しビスカスカップリングを用いる場合は、タイヤの滑りに応じてビスカスカップリング内の粘性により駆動力配分を行いはするが、路面の如何を問わずクルマを前進させ、万一の際には脱出力を発揮させるほどの駆動力は得にくい面がある。雪道や滑りやすい路面での操縦性安定の確保はできるが、悪路を走破するには非力な場合がある。
廉価で身近なSUVとはいえ、エクストレイルの魅力の1つはそうした本格的走破性にある。それが、歴代を通じて変わらないエクストレイルの特徴だ。
極限的にスポーツを楽しむ人に的を絞ったSUV
もう1つは、SUVを使う側の思いに配慮した装備や機能を備える点である。
まず、初代からエクストレイルは防水シート仕様を用意している。これは、前後の座席も荷室も、泥に汚れたり水に濡れたりしたまま、座ったり物を置いたりできる気安さがある。
エクストレイルが誕生する少し前の1990年代後半から、アメリカを中心にXゲームが注目を集めるようになった。BMXやスノーボードなど、それまでなかった数々のエクストリームスポーツが若者の人気となり、そうしたXゲームを楽しみたい人たちのギア(道具)の1つに含まれるクルマとして、エクストレイルは企画された。
したがって単にスポーツ多目的車という広い意味のSUVではなく、より活動的に、また極限的にスポーツを楽しむ人に的を絞ったSUVとしてエクストレイルは登場したのである。
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