中国人の街「西川口」の変貌っぷりが凄すぎる すでに中国人が多数派になっている団地も

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「中国人は日本語を話せないふりをする」「私物を公共スペースに置く」「敷金を払わないでいいようにと居抜きしている」などなど日本人住民からのクレームは尽きない。当然、昔ながらの住民は中国語を話すことができない。なにか注意しようにも怖くて声がかけられないという。

在住歴40年の日本人の未亡人は「昔は優雅だった。1人も『向こう』の言葉を話す人はいなかった」と懐かしむ。国籍だけでなく、世代の違いが日中両住民のボタンのかけ違いの原因になっているのだ。

昼間団地の中を歩いていると、中国人の子どもが1階の渡り廊下を無邪気に走り回っているのをよく見かける。観光ビザなどで訪日しているのであろう、お婆ちゃんたちが見守っている。王さん自身も、中国人男性との間に生まれた7歳と2歳の女の子を育てる忙しい日々を送っている。同じ団地に住む中国人ママ友には、日本語がうまく話せず、子育てで悩んでいる人も多いという。

SNSを使って育児相談

中国人コミュニティといえるようなものはまだこの団地にはないが、ネットワークは徐々に形成されつつある。たとえば、メンバー数が350を超える微信(ウィーチャット、LINEに似た機能を持つSNS)グループでは育児についての相談が行われている。「子どもが病気になった。どの病院がいいかな?」といった具合に。このグループは元々は中古品を売り買いする目的で始まったが、今ではビザの手続き、不動産仲介業の情報も飛び交っている。

ネットワークは徐々に形成されつつある(筆者撮影)

王さんとは違うもう1つのパターンとして、日本に留学せずに中国から転職で直接やってくる中国人たちがいる。山東省臨沂市の農村出身のシステムエンジニア(SE)である姜啓民さん(36歳、男性)もその1人だ。

聞くと、芝園団地への引っ越しがスムーズで助かったという。芝園団地はUR都市機構が管理する物件で、保証人や礼金、更新料がない。彼のケースでも、公的証明書を何枚か提出するだけで、2週間で手続きが完了した。この入居のしやすさが中国人住民を引きつける大きな魅力になっている。

地元の専科(注:日本の短期大学または専門学校に相当)でコンピュータを学んだ姜さんは卒業後に中国の地方都市を転々とした。北京、上海、広州などの大都会が窮屈だと感じ敬遠した。日本への移住を考え始めたのは、日系企業在職中に東京へ出張に来たときだった。

彼にとって芝園団地はまさに理想の住処だった。「初めて来た頃は週末にすることがなく寂しくなるかと思ったけど、(団地では)中国語が聞こえてきてとても温かい気持ちになった」。

在日歴がもうすぐ5年になるにもかかわらず簡単な日本語しか話せない姜さんは中国語でそう明かしてくれた。日本語を上達させるため、週末には団地内にある公民館で開かれるボランティアの日本語講座に通う。それでも、日本語は言葉一つをとってもさまざまな意味があり、難しく感じる。日本人とのやりとりでは「空気を読むこと」が求められることもあり、なかなか日本社会に溶け込めずにいる。「日本人はどのSNSを使って友達を作るの?」と逆に聞かれたほどだ。

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