「努力が空回りする営業」に欠けた3つの視点 激しい売り込みはお客をゲンナリさせる
2つ目の例は、お客さまが「今すぐ買いたい」「今すぐ商品が欲しい」わけでもないのに、一生懸命「どうですか?」「なかなかよい商品じゃないですか?」「今なら、安くできますよ」「役に立つと思います」「御社には必要な商品だと思います」などと、たたみかけるように売り込んでしまう状況です。
買う気もないのに、営業マンから買うように一方的に仕向けられると、お客さまは次回からは会いたくなくなります。いちいち断るのが面倒だからです。
望んでいない商品を売られれば売られるほど、反発したくなるのが人間の心理です。「勉強しなさい!」と言われた子どもが勉強しないように、大人でも、言われたことと逆のことをしたくなるのが人間の心理です。
では、このブーメラン現象、営業活動ではどのように注意すればよいのでしょうか?
デキる営業マンがやっている3つのコツ
営業マンは、商品を売るのが仕事です。一生懸命になるのはわかりますが、相手の意に反したことをすると、「逆効果」となってブーメランのよう自分に返ってきます。きちんと状況を考えて折衝していれば売れていた商品でも、あまりに強く売り込みすぎると、売れなくなってしまいます。そのため、状況に合わせた適度な強さの売り込みをするのが、現代の営業マンのスマートなスタイルだと言えます。
お客さまの興味がない段階では、なるべくアピールや売り込みは抑えましょう。私は普段、営業研修をしたり、営業マンの育成プロジェクトでアドバイスをしたり、営業マンに同行して研修指導を行っていますが、お客さまの意に沿わない「売り込み」を抑えることから、まず指導しています。
実は売れる営業マンは、以下の3つの行動を効果的に使っているのです。
1:普段は雑談などが多く、商品を売る気配を見せない
売れる営業マンは、商品を売りません。何を売るかというと、信用、信頼を売ります。そのためには、商品ではなく、コミュニケーションの時間を大切にし、信頼を得るために、相手のことを深く知ったり、自分自身のことを知ってもらう機会を作るものです。注力しなければならないのは相手の話を聞くことであり、雑談をしながら信頼関係を築くことなのです。
ある大手企業で、営業トレーニングをしたときの話です。研修の時間に、私がお客さま役となり、受講生に営業マン役になってもらい、あるテーマに沿って営業に来てもらいました。20人の受講生がいれば、全員が営業マン役になってもらうのですが、話がスムーズに進むのは、適度な雑談をしながら商談に入る人で、こういった人は全体の半分以下です。極端にいえば、売る気配が前面に出ていないほうが、商談の流れがスムーズになるのです。