「チコちゃんに叱られる!」にハマる人の心理

「半分、青い。」と並ぶNHKの二枚看板

第1に、番組の代名詞になるような「キャッチーな演出」がある、ということ。たとえば、2002年から2012年にかけてフジテレビで放送されていた雑学バラエティ『トリビアの泉』では、スタジオにいるゲストがどのくらい感心したのかに応じて「へぇボタン」を連打すると、その回数だけ「へぇ、へぇ」という効果音が流れる仕掛けになっていました。

『トリビアの泉』のことを考えると真っ先に「へぇボタン」のことが思い浮かぶ、という人は多いはず。1つの新しい画期的な演出があると、それだけで視聴者の気持ちをひきつけることができるのです。

『チコちゃんに叱られる!』の売りは、何と言ってもクイズの出題者がチコちゃんという5歳の少女であること。チコちゃんは年齢に似合わず大人にも生意気な口を利き、昔のことでもよく知っています。そして、上から目線でゲストたちに質問を投げかけます。

単なる「上から目線」は嫌われてしまいがちなものですが、小さい女の子が言っていると思うと何となく許せてしまうから不思議なものです。むしろ、こんな小さい子が知っていることを自分は知らないのだと思うと、焦りさえ感じてしまいます。質問を突きつけられたゲストも、それを見ている視聴者も、5歳児にいいように振り回されてドキドキした気分を味わい、それを楽しんでいるのです。

そんなチコちゃんが発する「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という決め台詞も印象的です。このフレーズは一度聞いたら忘れられません。チコちゃんに叱られることで大人たちは改めて気付かされます。知っているつもりで知らないことが世の中にはたくさんある、ということに。

NHK特有の「お勉強臭さ」がない

第2に、番組全体が民放っぽい軽いノリで作られている、ということです。スタジオでは、チコちゃんとゲストたちがアドリブ感の強い軽妙な掛け合いを繰り広げます。チコちゃんには、たとえば大竹まことのことを「シティボーイズ」と呼んだり、田中美佐子のことを「みちゃみちゃ」と呼んだりするような遊び心があります。大人の無知を暴こうとするチコちゃんと、それが見つからないように必死で取り繕うゲストたち。この緊張感のあるやりとりが見ていて面白いのです。

さらに、この番組はVTRの作り方にも工夫があります。専門家に話を聞いたり、実験をしてみせたりして、基本的には質問に対する解答に至るまでの過程を丁寧に見せていくのですが、本筋とは関係ないところでおふざけ的な演出が随所に挟まれます。わざわざ鶴見辰吾などの有名俳優を起用して再現VTRを作ってみたり、何かと手が込んでいるのです。

この番組のプロデューサーである小松純也は、フジテレビで『ダウンタウンのごっつええ感じ』『笑う犬の生活』などの人気バラエティ番組に携わってきた人物。民放のバラエティを作っているようなスタッフが手がけているため、スタジオもVTRも軽いつくりになっていて、悪い意味でのNHKらしい「お勉強臭さ」がないのが魅力的です。

ただ、そこに含まれている悪ふざけの質や量がほどほどに抑えられているのも見事です。民放のバラエティだと際限なく刺激的な笑いを求めてしまいがちなものですが、そこはNHKだけあって、下品になりすぎないような配慮が感じられます。そのポイントが押さえられているからこそ、ファミリー層も安心して楽しめる番組になっています。

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