スバル社長CEO辞任、新たな不正で「うみ出し」 風土改革に専念

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 6月5日、SUBARU(スバル)の吉永泰之社長は新たな2件の不正と再調査の実施について会見し、最高経営責任者(CEO)の職を辞任して代表権も返上することを明らかにした。3月撮影(2018年 ロイター/Denis Balibouse)

[東京 5日 ロイター] - 新たな不正が発覚したSUBARU(スバル)<7270.T>の吉永泰之社長は5日の会見で、最高経営責任者(CEO)の職を辞任して代表権も返上することを表明した。同社長は度重なる検査不正について「コンプライアンス(法令順守)上、到底許容されない」とし「会社に宿るうみを出し尽くすことが喫緊の課題」と語った。今後は代表権のない会長として、不正を生んだ同社の社内風土の改革に専念するとしている。

吉永社長は6月22日の株主総会後、代表権のある会長に就き、CEOは続ける予定だった。今後は中村知美新社長がCEOを兼務する。また、7月に予定していた中期経営計画の公表について、吉永氏は不正問題の再調査が終わり「問題がきちんと収束してから」と述べ、公表を先送りする考えを示した。

スバルは、完成検査で燃費・排出ガスのデータ書き換えなどを長年行っていた問題で、4月に国土交通省へ調査報告書を提出した。その後、同省は5月に本社と群馬製作所への立ち入り検査を実施。同省からの指摘を受け、スバルが社内調査を再度行ったところ、新たな不正が判明した。

新たな不正は、燃費・排出ガスの測定時に、1)車両を走らせる速度が規定から逸脱していたのに測定をやり直さず、有効な測定としていた、2)試験室内の湿度が規定の範囲外だったにもかわらず、データを有効としていたーーの2点。

現時点で不正行為の実態、原因や背景、動機などについて十分に究明できていないため、検査業務プロセス全体について早急に社外専門家による再調査を行い、1カ月後をめどに国交省に報告する。吉永社長は会見で、「この調査を本当に最後にしないとブランドが傷ついてしまう」と語った。

同社はこれまで弁護士らによる現場へのヒアリング調査を重ねて実施してきた。にもかかわらず、社内調査ではなく、国交省の指摘で新たな不正が発覚した。

吉永社長によると、社内には不正を生んだ状況についてすべて話して欲しいと繰り返し求めたにもかかわらず「(全部は)話してもらえなかった」が、国交省の聞き取りには社員は明確に答えたという。

同氏は「無念としかいいようがない」と悔しさをにじませるとともに、「現場の声が普通にちゃんと上がってくる会社に早くしないといけない」と語り、今後は新たな不正発覚に伴う再調査に加え、全社的な風土改革を進める、と強調した。

これまでの燃費・排出ガスデータの書き換えによる不正の対象台数は903台だったが、新たな不正により1551台(重複分を除く)に増える。輸出車への影響も現在調査中で、リコールは今後の調査結果を踏まえて検討する。

ただし、大崎篤・品質保証本部長は、規定通り測定したデータのみで再検査した結果、不正対象車両に「品質・安全上の問題はない」としている。吉永社長は昨年12月以降に順次実施した再発防止策によって、今回新たに判明した不正も「防止できており、この問題がこれ以上拡大する可能性はない」と述べた。

(白木真紀)

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