エプソンが「インクジェット」に命懸けの理由 碓井社長「ペーパーレスを言い訳にしない」

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――リストラを進めるリコーや富士ゼロックスを筆頭に、複合機業界はそもそも厳しい状況にあります。インクジェットで市場開拓を進められるのでしょうか。

ニーズに対してきちんと向き合わなければ、時代とともに顧客から見放されることになる。ITサービスなどの大手複合機メーカーの施策には、自分たちの顧客を囲い込むためだけで本質的でないものも多い。単に囲うのではなく、期待して使ってもらおうという供給側としての気持ちがなければいけない。その気持ちの表れとして、自分たちがやれる技術革新を徹底的に極めることが必要だ。

ペーパーレス化を言い訳にしない

――とはいえ、皆がスマホやタブレットを持ち、クラウドサービスも普及する中で「ペーパーレス」の流れが進みつつあります。

碓井 稔(うすい みのる)/1955年生まれ。1979年信州精器(現セイコーエプソン)入社。研究開発本部長などを経て2008年から現職(撮影:今井康一)

なんでもかんでも減らして仕事の効率が下がったら本末転倒。一人一人が創意を凝らしたり仕事の生産性を上げたりするうえで、最適なものを使えばいい。紙はもう何千年来ずっと人類が親しんできた、生産性向上や知的活動を支援する非常に大きなツールだ。将来もしっかりとしたポジションはあると思う。

印刷をしようとしたときに誰もが思うのは、「こんなに紙を使っていいんだろうか」ということ。紙の問題は、使い捨てで自然環境を壊すという話で思考が止まってしまう。だが、再生して何でも使えるようになったら話は変わってくる。思考の制約が取っ払われたときにはまた、新しい知的活動にまい進できるんじゃないか。

自分たちのビジネスだからということではなく、それが社会のニーズであり期待感だと思う。だから「PaperLab」という、使用済みの紙から新たな紙を生産できるオフィス製紙機を造った。プリンティングの技術をずっとやってきた以上、ニーズに正面から応えずペーパーレス化を言い訳にしたりしない。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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