ここがヘンだよ! 日本の“ガラパゴス観光” JTBグループ本社社長が一刀両断
そういう意味でも東京オリンピック・パラリンピックは、交流を増やすことで平和的な解決を目指すための、非常に大きな起爆剤だと思います。
本当は「東京」は象徴的な名前であって、「日本オリンピック」にしたいのですよ。そしてインバウンドを増やして、東京から京都、奈良を含めて全国へ散らばってもらいたい。特にASEAN諸国から来られた方は、ぜひ日本のローカル(地方)を見に行ってもらいたい。
昔、海外旅行がまだ100万人に満たない頃、「ロンパリローマ」という言葉があったんですよ。大英帝国、非常にファッショナブルなパリ、ローマの歴史。これら3都市を巡ると、ヨーロッパ全体のだいたい7~8割はわかるという意味で。
欧米人から見れば、北京、ソウル、東京は同じような目で見られるのではないかと思います。そういう流れを、東京オリンピックのときに作りたい。
観光当局の予算は世界最低
――観光客に買い物消費を増やしてもらうために「ショッピングツーリズム協会」が発足しましたね(田川氏は座長)。
日本には、クールジャパンに代表されるものもあるし、伝統工芸品もあるし、匠の世界は大変なものがあります。ドライブインでは買わない商品でも、道の駅では買ってしまうことがありますね。買い手側と売り手側の人間に臨場感があるからです。
「誰誰のおばあちゃんが丹精込めて作って、今朝、採ってきたジャガイモです」と書いてあって、ほろっとして買ってしまう。外国人のお客様にも、日本の伝統的な文化や、クールジャパンで示されるような商品をアピールするような、新しいツーリズムが必要なのではないか。土産物を買わせるようなレベルではなくて。
たとえば九谷焼とか、日本の伝統工芸品もたくさんいいものがあるのに、多くの外国人は見ることもなく帰ってしまうのではないか。それをショーケースで見せられないか。
旅行会社も、今まではツアーを売る発想だった。インバウンドも単に日本に来てくださいというだけではなくて、なんで日本に来なければいけないのか、日本に来たら何をするのかを、きちんと示す必要がある。
観光庁にも要請していますが、日本政府観光局(JNTO)の予算が世界で最低水準ですから。たぶん世界の中で主要国、先進国、それから今、頑張ろうとしているASEAN諸国の中で、いちばん観光予算が少ない。韓国は日本の8~10倍あります。
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