ライトオン、「38歳新社長」で赤字脱却なるか 過去の成功事例に頼りすぎた企業体質にメス

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同社は赤字脱却に向け、川﨑新社長の下で改革のスピードを上げていく方針だ。大量のジーンズを壁面に縦積みするのを基本としていた売り場は、一つ一つの商品を台の上に広げたり、コーディネートさせたマネキンを複数投入したりして、特徴がわかるような陳列に変更。テーマやブランドごとに、アウターやボトムス、雑貨も混在させたコーナーを用意して、演出力を強化する。

4月から原宿に営業系部門を移転

商品の仕入れでも、トレンドに対応したものを適宜投入できるよう、短期生産による商品の発注割合を増やしていく。約500店舗を展開するスケールメリットを生かし、リーバイスなど有名ブランドとの別注アイテムの開発にも力を入れ、他社との差別化を打ち出す。

川﨑純平新社長は「今まで値引き販売で売り上げを作ってきた部分が大きい」と語り、プロパー販売の比率を上げると強調した(記者撮影)

商品開発や売り場づくりにかかわる部門はこれまで茨城県つくば市の本社内に置かれていたが、トレンドの変化に関する情報を取得するタイミングを早めるため、4月9日からは原宿オフィスに移転。社内にマーチャンダイジングなどのノウハウが少ないこともあり、商品部や生産部を中心に外部人材を10数人登用した。

足元で粗利益率は改善しているとはいえ、昨年9月度~今年3月度までの既存店売上高累計は、前年同期比で8.9%減と苦しい状況が続く。会社側は今下期(3月度~8月度)の既存店売上高を前年同期比1.5%増と見込むが、競合の攻勢も厳しく、もくろみ通りになるかは不透明だ。

値引き抑制やコスト削減で今期黒字化を達成できたとしても、売上高が回復しない限り、かつての勢いを取り戻すことは難しい。市場環境が厳しさを増す中、会社をどう成長軌道に乗せていくのか。川﨑新社長の手腕が試される。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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