日産が中国でEVを売りまくりたい本当のワケ 北京のナンバープレート当選確率は0.0012%

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日産は今後5年間に中国に投入する40車種以上のうち、半数超を電動化モデルにする方針だ。その主軸はやはりEVだ。現時点では、中国のEV市場はシェアの大半を現地メーカーが握っている。ただ、品ぞろえが少なく、デザインや機能性に不満を持つ消費者も多い。日産の予測では、2022年のEV需要139万台のうち、53%に当たる73万台がナンバー規制のある都市住民にあると見る。

商品次第で現地メーカーからシェアを取り返せる。そう考えた日産は、セダンだけでなくSUV(多目的スポーツ車)などEVの車種数を一気に増やして、需要を深掘りする戦略だ。2018年に投入する新型「リーフ」はその試金石と言え、量産型EVでは前モデルも含めて累計販売台数首位という実績が偶然ではないところを証明したいところだ。中国専用EVの開発も急ぐ。

「e-POWER」搭載車で台数増狙う

日産はナンバー規制で膨らむ需要の取り込みに向け余念がない。日産が投入する電動車モデルには、現在は日本のみで販売する「e-POWER」搭載車を含む。エンジンで発電してモーターで駆動するタイプの車だ。e-POWERは現状はガソリン車と同様にナンバー規制の対象となっている。これをナンバー規制の対象から外すよう、現地当局に働きかけているという。

日本で販売好調の日産「ノートe-POWER」。日産は「e-POWER」の搭載車種を2022年までに中国に投入する計画だ(撮影:尾形文繁)

小型車「ノートe-POWER」は、日産の国内販売を牽引している。「充電不要のEV」と打ち出したことで、EVに関心はあるが航続距離の短さを気にする消費者の取り込みに成功した。日産は現時点では中国で販売するe-POWERの車種を公表していない。e-POWERがナンバー規制でEVやPHVと同じ扱いを受けるようになれば、中国の都市部で一気に販売増を狙える。

今や、中国は日産にとっても世界販売台数の4分の1を占める屋台骨だ。日産の地域別販売台数では今年、中国が米国を抜き、首位に躍り出る可能性が高い。米国は競争激化による販売奨励金(インセンティブ)が高止まりし、収益性が急激に悪化している。北米の営業利益率は2017年度第3四半期にわずか1%にまで落ち込んだ。米国は全体需要も頭打ちで、日産にとって当面は大幅な台数増を狙える環境にない。世界最大市場で確実に成長できるか、中国事業の成否が日産の命運を左右することになりそうだ。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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