「パート妻」は年収150万円稼ぐほうが幸せだ 老後に備え「103万」「130万」の壁を破れ

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もし、パートタイムの妻が、月々2万3000円(年間27万6000円)の積み立てをすると、年4.5%で運用できれば、およそ30年後に1500万円となります。4.5%で運用できるかどうかはともかく、パートの年収が増えた分をiDeCoで自分年金に回すと、積みて立時から受け取りまで、すべて非課税でおカネを作ることができるのです。この場合、税金がかかっていたらどうなるでしょうか。月々2万3000円を4.5%で運用すると運用益は約700万円ですから、700万円×20%=140万円の税金です。これが無税となるメリットは大きく、相当有利に自分年金を作ることができます。

これが配偶者控除拡大とiDeCoの活用で、お得に自分年金を作る方法です。

子どもが大きくなったら自身も社会保険に加入して働く

これまでは、会社員の夫の扶養の範囲で働くことを重視したケースでお話をしましたが、ぜひ検討していただきたいのが、「妻自身も社会保険に加入して働く」ということです。子どもが大きくなって余力があるという方は、ぜひチャレンジしていただきたいのです。

どういうことでしょうか。配偶者控除の拡大によって、妻が、「夫の税金が増えない150万円までパート収入を上げる」としましょう。年収が130万円を超えると、妻は夫の扶養から外れ、自ら社会保険に加入することになります。すると、社会保険料の負担が発生します。負担すべき健康保険料は、協会けんぽなら都道府県ごと、組合健保なら組合ごとに保険料率が異なりますが、今回は健康保険料(40歳未満)と厚生年金保険料を合わせて14%として計算していきます。もし、毎月の給与が12万5000円(年収150万円)なら、月々の保険料は1万7500円、年間だと21万円です。

一方、税金はどうなるかというと、給与所得控除が65万円、基礎控除が38万円、社会保険料控除が21万円(=支払った社会保険料は全額所得控除)となり、課税所得は、150万円-65万円-38万円-21万円=26万円です。これに対する所得税は1万3000円。住民税が3万1000円で、合計4万4000円です。つまり手取りは150万円-21万円-4万4000円=124万6000円となります。

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