乗り換え改札設置「下北沢駅」は不便になるか メトロ・都営の「壁」撤去の流れには逆行?

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工事中の下北沢駅舎2階からコンコースを見下ろしたところ。幕で覆われている壁面はガラス張りとなり、通路沿いに商業施設が入る予定だ(記者撮影)

新しい駅の構内図は、下北沢駅付近の地下化に関する情報を発信する小田急の情報誌「シモチカナビⅡ」の2017年7月号(vol.18)に掲載されており、情報が公開されていないわけではない。だが、新駅舎の完成後は乗り換えに改札通過が必要になることを大きく告知しているわけではないため、同駅の乗り換え利用者でも知らない人が多いようだ。

地下化される前から十数年間、通勤で利用してきたという女性客は「ただでさえ地下になって乗り換えに時間がかかるようになったのに、改札ができたらさらに面倒になる」。別の男性は「ラッシュ時は相当混雑しそう」と予想する。一方で、「今はPASMO(ICカード)だから改札があってもそれほど面倒じゃない。通路がごちゃごちゃせずわかりやすくなるなら別にかまわない」という利用者もいた。

なぜ改札がなかったか

一般的に、異なる鉄道会社同士の乗り換えは一旦改札を出るか、または乗り換え用の改札が設けられている場合が多いが、下北沢駅では歴史的な経緯もあり、これまで改札を通過せずに乗り換え可能な形が続いてきた。

下北沢駅が開業したのは1927(昭和2)年。まず小田急線(当時は小田原急行鉄道)が開通し、その後1933(昭和8)年に井の頭線が開通したことで乗り換え駅となった。両線の連絡通路に改札が存在しないのは、井の頭線が小田急系の「帝都電鉄」として開業し、のちに小田急の路線となったためだ。同線は戦時体制下での私鉄各社の合併、さらに戦後の分離を経て京王の路線となったが、改札なしで乗り換えられる形はそのままだった。

これまで改札を通過せず乗り換え可能だった駅に新たに改札を設ける例は、小田急線のほかの駅にも存在する。相模鉄道(相鉄)と小田急江ノ島線が接続する大和駅(神奈川県大和市)だ。設置の目的は、相鉄が2019年度に予定しているJR線との直通や、2022年度に予定している東急線との直通運転に備えて乗車経路を明確にする必要があるためで、2018年3月から乗り換え改札の利用を開始する予定だ。

だが、小田急線と井の頭線は新たに乗り入れ路線が増えるわけではなく、新駅舎完成後もこれまでと特に変わりはない。新たに改札を設けることについて、小田急は「これまで古くからの名残で改札がなかったが、ICカードの普及が進んだことで、改札を設けても今までの利便性を大きく損なうことはなくなった」と説明する。

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