危険な火遊びも辞さない公明党・創価学会の独走

危険な火遊びも辞さない公明党・創価学会の独走

塩田潮

 報道によれば、総選挙の日程は「10月26日の投開票」で固まったという。自民党の古賀選対委員長の打診に対して「11月9日」を想定していた公明党側も応じる見込みらしい。
 だが、おかしな話である。いうまでもなく衆議院の解散権は首相が直接、国民に信を問う必要が生じたときに議員全員の首をはねて選び直す権限であり、「首相の大権」と呼ばれている。今回は辞める福田首相の後継も決まっていない。自民党総裁選で「当確」情報が流れ始めた麻生幹事長も、現段階では有力候補にすぎない。大権の保持者が事実上、空席なのに、解散・総選挙の日程が固まるというのは、裏権力が政治を動かしている証左である。
 裏権力は公明党だ。古賀氏の打診も公明党の意を酌んだ上でのある種の儀式と見ていいだろう。

 表の権力者の福田首相は7月下旬、「私に解散しろと言うのか」と周囲に漏らしたように、早期解散の意思はなかった。インド洋給油延長問題で逃げ道をふさいで退陣に追い込んだのは公明党である。表向き「早期解散が民意」「不人気の福田首相よりも麻生氏を」と唱えているが、本音は都議選との近接の総選挙の回避という思惑や矢野元委員長の国会招致阻止など陣営内の問題への対応で、身内の論理優先だろう。次期首相確実といわれる麻生氏は公明党寄りのようだが、解散問題で公明党主導を容認する気なのか。

 公明党の舵取りで見通せないのは今後の自民党との関係である。連立に加わって9年、与党のうまみを手にしてきた公明党は、運命共同体と腹をくくって自民党丸に同乗し続けるのか、それとも泥船と見限って下船の準備を始めたのか。
 もちろん総選挙の結果次第だが、「解散権をもてあそぶ党」という危険な火遊びも辞さない今回の独走は、もしかすると公明党・創価学会グループが予想を超えた大転換を図る前触れなのかもしれない。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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