またミサイル!北朝鮮は「第2のキューバ」へ 核ミサイル問題は何十年もの膠着状態が必至

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ドイツのミュンヘン在住のミサイル専門家、マーカス・シラー博士は、北朝鮮の発表前に、今回の北朝鮮のミサイルは7月の2発のICBMと同じ、火星14との見方を示していた。弾頭の重さはわずか100kgと推定。小型核弾頭の重量とされる500kgと比べてはるかに軽く、核弾頭部分がモック(偽物)だった可能性を指摘している。

また米国のミサイル専門家、デビッド・ライト博士は、今回の北朝鮮のICBMが過去最高高度の約4500km、過去最長の飛翔時間約53分、飛翔距離約960kmを踏まえれば、通常角度で発射した場合には1万3000km以上に達し、ワシントンはおろか米国全土を射程に収めるとの見方を示した。これは、7月4日の火星14(高度約2800km、飛翔時間約40分、飛翔距離約900km)や、7月28日の火星14(同約3700km、同約45分、同約1000km)と比べ、格段に長いミサイル射程距離となる。

しかし、ライト博士はマーカス博士同様、こうした射程距離の急激な伸びが、核弾頭部分がモックで軽量だったために実現できた可能性を示唆。もし、これが事実であれば、1万3000km以上には到達しない、との見方を示した。

北朝鮮の朝鮮中央テレビによると、金正恩氏は29日未明に現地を視察し、「核武力完成の歴史的大業を果たした」と語った。

北朝鮮は今、米本土を狙う、ICBMの完成や実戦配備を急いでいる。米国との交渉で、平和条約や不可侵条約といった”体制保証の約束”を先に得るよりも、むしろ、ワシントンやニューヨークといった米中枢部を直撃できる核弾頭搭載のICBMをまず完成させたほうが米国との交渉で優位になり、体制の保証に役立つと考えているからだ。

建国70年を前に「国家核武力の完成」を宣言

「核武装の完成」を宣言した金正恩氏だが、ICBMの完成に不可欠な大気圏再突入技術の確立や核弾頭の小型軽量化、ICBMの射程距離延長を実現するため、さらなるICBM実験をする可能性も残されている。これまでの軍事パレードで登場した、3段式のICBM「火星13」の初めての試射もありえよう。

また、いまだ30代の若き独裁者の金正恩氏にとって、米国本土に着弾できる小型化された核弾頭搭載のICBMの完成は、技術面の確立だけではなく、内政面で自らの権威付けや箔付け、実績作りに役立つ。12月17日の故・金正日総書記の命日や12月30日の金正恩氏の軍最高司令官就任の記念日に合わせた、4度目のICBM発射実験の可能性も残されている。

2018年は北朝鮮の建国70年となる。この節目の年を控えて、金正恩氏は「核武力完成の歴史的大業」を高らかに宣言する格好となった。

金正恩氏はこれからどう出るか。2018年3月には毎年恒例の米韓合同軍事演習が控えている。北朝鮮が毎回、これに強く反発するなか、2月の韓国での平昌(ピョンチャン)五輪開催の機に乗じて、米韓に対し挑発行動に出る可能性もある。

北朝鮮問題は、今後何十年も続く、長期的な持久戦になると筆者はみている。米国は北朝鮮への軍事攻撃はできない。1994年の朝鮮半島第1次核危機や2003年の第2次核危機の際にも、米国は北朝鮮への軍事攻撃を検討したが、ソウルを中心とした被害リスクを考えて、手が出せなかった。当時と比べ、今の北朝鮮の攻撃能力は核ミサイル能力を含め、高まっており、日韓の被害はもっと大きくなる可能性が高い。

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