ゾンビ状態の民進党、いつまで延命するのか 両院議員総会では前原バッシングが炸裂

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また「一定の方向を定めるのが私の責務」と述べて、自分の決定を正当化しようとする前原代表に対して、芝博一参議院議員は「全ては言い訳にしか聞こえない。なぜ全ての決定をひとりで行ったのか」と疑問を呈し、桜井充参議院議員に至っては「なぜ引き返さなかったのか。偽メール事件と同じではないか」と批判した。

桜井氏はさらに、「(希望の党との)交渉については本来は選対委員長の長妻(昭)さんが行うべきで、結局は党が壊れた」と前原代表を厳しく責任追及している。

この時点でもはや前原代表への信頼は皆無となり、辞任を求める声が相次いでいる。江田憲司氏は「本日即刻辞任いただきたい。遅すぎるくらい」とばっさりと斬り捨て、福田昭夫氏は「特別国会が始まるまでに新しい代表を決めるべきで、前原さんが決めるのはおかしい。安心して身を引いてほしい」とやんわりとかつ厳しく述べている。

前原氏へのバッシングの嵐

さらに石橋通宏参議院議員に至っては、すぐ後に開かれる両院議員総会での辞任を求めていた。芝氏は「前原さんが方向性を決めるのは許されない」と厳しい態度を崩さず、杉尾秀哉参議院議員は「国民は前原さんを嘘つきと思っている」と批判して、即時の辞任を求めた。

徳永エリ衆議院議員や神本恵美子参議院議員など女性議員も、前原代表にすぐさま辞任することを要求。前原氏は「もっとも嫌われた代表」として歴史にその名前を残しそうだ。

さて、民進党として最後の会見をする前原代表の背後に、代表就任時から党のシンボルに取り入れた「ALL for ALL(みんなはみんなのために)」が見えていた。

前原氏は党から去り、10月31日午後には新しい代表が選ばれる。衆議院はバラバラになったが参議院は46名の勢力を保持していることもあり、参議院から選ばれる見通しだ。ただ弱みは、これといって目玉になる人材がいないこと。当初ささやかれた羽田雄一郎参議院副会長は出馬を否定したが、小川敏夫参議院会長や大塚耕平政調会長代理のほか、衰退の原因となった蓮舫前代表まで候補に挙がっている。

民進党には100億円以上ともいわれる資金が、まだ残っている。これがある以上、党存続は不可能ではない。分党論も出ているが、民進党はあたかも親の遺産を食いつぶす子供のごとく、延命にいそしむに違いない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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