また田園都市線!相次ぐ故障にウンザリの声 10月19日は停電で3時間足止めの利用客も

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同報告書に掲載されたトラブルの事例によると、2016年7月9日に田園都市線の二子玉川駅付近で起きた信号ケーブルからの発煙の原因は「ケーブルの接続部が長期間にわたる列車振動等により、突起物と接触したことで損傷し、大きな電流がケーブルを流れたため」。同年8月16日に同線の桜新町駅で起きた信号関係の機器故障は「内部配線が長期間にわたる振動等によって、疲労破壊し、断線したため」とされている。

東急によると、信号関係のケーブルについては目視による点検を6カ月に1回、精密検査を2年に1回行っており、駅の配電所は毎月1回目視で点検しているという。今回、電気系統がショートした原因は19日の段階では不明。トンネル内の線路際などの確認も必要になるため、確認や点検は終電後になるという。

今年で開業から40年

渋谷―二子玉川(当初は二子玉川園)間が開業したのは1977年4月で、今年で開業から40年。開業当初と比べれば利用者数も列車の本数も大幅に増えており、施設への負担も増しているといえる。東急は2018年春から田園都市線に新型車両「2020系」を投入する予定で、ほかの東急各線と比べて古めの車両については、それほど遠くない将来に若返りが図られそうだ。だが、送水管から水が噴き出した際の「管の劣化」や、信号関係機器故障の「長期間にわたる振動等で疲労破壊」といった原因が示すように、各種の施設が老朽化している可能性は高い。

駅やトンネルについてはこれまでに耐震補強や火災対策基準への対応工事、バリアフリー化工事などを行っているというが、電力や信号など各種施設の老朽化に対応した点検や交換も喫緊の課題といえる。東急の関係者は「トラブルの頻発で利用者に迷惑をかけているのは事実。設備の不具合をなくすため、改めて細かい機器を含め検査を行うことになると思う」と話す。

渋谷の大規模再開発をはじめ、「東急でんき」のブランドで電力小売にも参入するなど多方面で事業を展開する東急グループだが、そのブランド力の源が鉄道の信頼性であることは間違いない。田園都市線は利用者も多く、ひとたびストップすれば沿線住民への影響は極めて大きい。渋谷に次々と立つ高層ビルの「足元」を走る、鉄道の安定運行に向けた取り組みの強化が求められる。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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