スイフトスポーツが「3ナンバー化」した理由 スズキの小型車にこもる世界戦略を読み解く
スイフトスポーツの全長は3890mmで標準のスイフト(3840mm)よりも少しサイズアップしているが、それでも4メートルにも満たない小さな車。国産車ならトヨタ自動車「アクア」、日産自動車「ノート」、ホンダ「フィット」などと近いサイズとなる。そんなスイフトスポーツが「3ナンバー」だというのだから、日本人にとってみれば驚きかもしれない。
ただ、もともと海外で販売されている標準型スイフトを日本に持ってきて登録すれば、やはり3ナンバーになる。両者のフェンダーは共通だからだ。スイフトは以前からグローバル車種として展開しており、インドなどでも生産される。販売台数では日本よりインドや欧州のほうが多い。
海外には5ナンバー枠などの規定はなく、ボディデザインとして自然なのだ。さらに日本で展開するスイフトスポーツは走りのイメージが強く、それを強調するデザインが欲しい。そこで海外向け標準車と同じフェンダーを与えたようだ。
「スイフトスポーツは専用設計のデザインではなかったのか」と思うクルマ好きがいるかもしれない。しかし個人的にはスズキらしいモノづくりだと考えているし、2種類のフェンダーを使い分けているのは日本のみであるわけで、スズキは日本にだけきめ細かい差別化をしていると好意的に見ることもできる。
実はスイフトにはもう1つボディバリエーションがある。アジア諸国向けとしてインドで生産されている4ドアセダンの「ディザイア(DZIRE)」だ。
ディザイアは2008年から存在している車種だが、旧型はスイフトの後部に箱を追加したようなスタイリングだったのに対し、新型はキャビンの造りも別物であり、インパネもまったく異なる。
基本設計を同一としながらきめ細かい作り分け
専用設計の車種だと一瞬思うが、フロントまわりは共通点が多い。全幅やホイールベースの数値も同一だ。こちらもまた、基本設計を同一としながらきめ細かい作り分けがなされている。
さらに言えば、同じプラットフォームは日本でもインドからの輸入車として2016年から販売されている「バレーノ」にも使われている。全長に余裕を持たせ曲線を多用したスタイリングを持つバレーノはゆったり乗れるクルマ、スイフトは走りを楽しむクルマという性格分けをしているようだ。
もう1つ、スイフトスポーツ初となった1.4L直列4気筒ターボエンジンも、グローバル戦略の中で生まれた。このエンジンはスイフトスポーツに先駆け、今年7月に小型SUV「エスクード」に搭載して日本でも発売されたが、ダウンサイジングターボの本場といえる欧州では2年前の2015年から、同じエスクード(現地名「ビターラ」)に設定されていた。
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