iPhone Xの本質は「夢を実現する遊び場」だ 発展のカギは「アプリ開発者が面白がるか」

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特にこの数年はまったく新規のアイデアを探すよりも、まだアップルが実現していなかった機能を、アップルなりに再設計することで取り込んでいく……という側面もあった。

Apple Payはグローバルで利用可能なフレームワークとして作られてきたが、一方で応用分野としては日本のおサイフケータイが遙か昔に実現していた機能でもある。

革命的な製品よりも、革新的な製品

防塵防滴も日本の端末メーカーにしてみれば、いつか来た道であり、iMessageへの絵文字機能の統合もそれに近い。いっそのこと、かつて日本のフィーチャーフォンでは当たり前だったストラップホールも真似してくれないか?と思っている読者もいるかもしれない。

“よりよいアプリ”のために必要な、より高性能なハードウエアが今は求められても、まったく新しい分野は生まれにくくなっているのが今のスマートフォン業界だ。革命的な製品よりも、革新的な製品が好まれる傾向にあり、革新の歩幅も短くなってきている。

しかし、アップルは、元来、保守的な会社である。完成度を高めることにはこだわるが、新しさだけを追い求めることはしない。その代わりに完成度とプラットフォームとして将来、成長を持続できるだけの基盤となることを重視する。

iPhone XのFace IDに関しても、応用範囲が個人認証とカメラのフィルター処理、それに絵文字の拡張だ。「たったそれだけ?」と思った読者もいると思う。ただ、これらはアップルによる実装例を示しただけ、ととらえるほうがよいのではないだろうか。

顔認証機能も、マイクロソフトのWindowsプラットフォームが先に対応していたことを考えればオリジナルのアイデアとは言えないだろうが、アップルは開発者に対してTouch IDの活用を繰り返し訴えてきた。指紋認証の使い方が広がれば、そのまま顔認証機能の優位性へとつなげられる。

Animojiも「好きなデザインがない」とダメ出しの声を聞いたが、これもキャラクターを持つ会社がプラグイン形式で対応すれば面白いアプローチに発展していくだろう。たとえばピクサーをはじめディズニーのキャラクターでAnimojiが使うことができれば楽しいに違いない。

端末メーカーであり、基本ソフトの開発元であり、アプリ流通の胴締めであり、アプリ開発も行っているアップルだが、iPhoneはプラットフォームだ。その上で動くアプリケーション開発者が新たな価値を創出する基盤であることのほうがより重要である。

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