ソニーの「頭脳」が考える人工知能の未来 プロトタイプ「AIBO」の意外な姿とは
キーワードを基に様々なジャンルのフロントランナーからビジネスのヒントを聞く「飛躍のアルゴリズム」。今回はソニーコンピュータサイエンス研究所社長・北野宏明氏。AI研究の第一人者が、人工知能の過去と今、そして未来を語る。
北野宏明氏は、1961年生まれの56歳。1993年にソニーコンピュータサイエンス研究所に入社し、早くからAI(人工知能)などの研究に携わってきたAIの第一人者。また、今年で20周年を迎えた国際的なロボットの競技大会「ロボカップ」を立ち上げた一人でもあり、ソニーのエンターテインメントロボット「AIBO」の開発ではアドバイザーを担当した。
「楽しいロボットを創ろう」
――1つ目のキーワードは「最初のAIBOはゴキブリ!?20万台以上売れたわけは…」ということで、このゴキブリというのは気になりますが、まずは、そもそもAIを使ったロボットはどうして生まれたんでしょう。
当時ソニーは、新しいソニーのコンピューターワークステーション「ニューズワークステーション」が非常にヒットして売れました。その次にデジタル技術を使って、コンピューターじゃないものをつくろうという話になったんです。
その時に何ができるかということで、まあロボットというのがひとつの候補に挙がったわけですね。まあ、企業ですから5年ぐらいで商品化しないといけませんから、その時のロボットの技術では、その時間軸で「何ができます」というほど作れる感じはあんまりなかったです。
それで、そうではなくて、やっぱり“持っていただいて、楽しんでいただくもの、それ自体が商品性があるもの”を作ろうということになりまして、エンターテインメントロボット、人間とインタラクションして楽しいロボットを作ろうということになって、開発が始まったんです。