トランプ大統領から大企業が「逃げる」理由 ビジネス関連助言組織が相次ぎ解散
トランプ大統領は、自身のビジネスでの経験を生かして雇用市場や長年停滞し続けてきた経済全体の回復を図ると訴えることで、多くの有権者の支持を得た。助言組織は通常、時の政権に強い影響力を持つことはないが、トランプ大統領は、税金や規制、貿易政策への実際の影響を与えられる大統領執務室へのアクセスを得られると多くのCEOを誘惑していた。
ところが、CEOらはこうした政策に関与できるどころか、今回の件で、自らの企業ブランドや自らの評判を汚す危機に瀕してしまったのである。
ゴールドマン・サックスの取締役であるビル・ジョージ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に「顧客、従業員、株主、取締役会のメンバーらが、CEOに対して、(シャーロッツビルで)今起こっていることに対して反対の立場を取り、助言組織から離脱せよ、という圧力がかかっている」と話した。「こうしたCEOたちは、彼らが白人至上主義者や新ナチス支持者と結託しているのだ、と考えている消費者とはうまくやっていけなくなってしまう」。
組織のCEOたちも必死に「トランプ断ち」
続々と抜けていくCEOらに対して、トランプ大統領はいつものように好戦的な態度で対峙した。当初、組織を離れるCEOたちは、トランプ大統領が海外に出た工場を米国に戻すと声高に訴える中、「米国外で製品を製造していることが恥ずかしくなって組織を離れた」と主張。さらに、初期に辞任したCEOたちをスタンドプレーヤーだと非難し、代わりはいくらでもいると語っていた。
一方、組織を離れたCEOたちはそれぞれの形で、辞任を発表。たとえば、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、同氏が所属していた戦略・政策フォーラムが解散したことを明らかにし、「このことをあいまいにする余地はない。彼ら加害者たちの憎悪による悪意の表明は批判されなければならないが、多様性と人道性が強さの源泉となっているわが国に彼らが存在できる余地はない」。ウォルマートのダグ・マクミロン社長も、「白人至上主義による恐ろしい行動を明確に非難することによって、わが国を1つにできる貴重な機会だ」と表明した。
シャーロッツビルの余波は、助言組織に関与していない企業にも広がっており、多くの企業が12日以降、バージニア州の人種差別組織を非難することに賛同している。たとえば、ネットプロバイダーのGoDaddyは、暴力に傾倒した白人至上主義者集会を運営するネオナチに対し、サービス提供を今後行わないと発表した。
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