店で高級時計をうっかり破損、弁償義務は? 決してわざとではない「事故」だったが…

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わざとではないがお店の商品を壊してしまったら…(写真:Sunrisephoto / PIXTA)

お店で商品を壊してしまった。わざとではなかったが、商品を賠償する責任はあるのか――。そんな相談が複数、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

ある人は、時計店で高級時計を試着した際に、バンドがゆるく、手首をすり抜けて床に落としてしまいました。お店からは、時計が損傷を受けたとして「販売することは困難で、買い取って欲しい」と言われたそうです。しかし、店側も何らかの保険に入っているはずで、その保険でカバーされるのではないかと考えています。

また別の人は、6歳の子どもがインテリアショップでランプをうっかり落としてしまいました。店の店長から「7万4000円の商品ですが、(そのうち)2万5000円を弁償してください」と言われたそうです。ただ「通路上に短い配線があり、靴先を少し引っ掛けた瞬間、倒れてしまった。このようなケースでも提示された金額を素直に支払うべきなのでしょうか?」と疑問を感じているようです。

お店の商品を壊してしまった場合には、必ず弁償しなければいけないのでしょうか。また、商品を賠償する場合は、店側に提示された金額を支払うしかないのでしょうか。田村ゆかり弁護士に聞きました。

「過失による場合でも損害賠償義務を負う」

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

「わざとでなくてもお店の商品を壊してしまった場合には、原則として、損害賠償義務を負います。不法行為について定めた民法709条で、『故意』だけでなく『過失』による場合でも、損害賠償義務を負うとされているためです。

では、ご相談にあった(1)お店側にも過失がある場合でも支払うべきなのか、(2)お店が加入している保険でカバーされるのではないか、という点について検討してみましょう」

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