板橋死体遺棄事件と犯罪インフラ業の闇

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つかめぬ業界の全体像 詐欺団が私書箱経営?

 「最初は不倫カップルが手紙をやり取りするのに使われていたらしいですよ」--。6畳ほどのスペースに、50個ほどの扉が並ぶ棚が2列。そこに収まり切らない大量の郵便物が至る所に山積みされている。私書箱事業を長年手掛けるこの業者によると、都内で私設私書箱が登場したのは20年ほど前。業者数が一気に増えたのは、振り込め詐欺がはやりだしたここ数年のこと。電話代行を兼ねる業者も多い。大半は本人確認を求めず、夕刊紙に広告を出せばたちどころに顧客が集まるという。「ほら、今来たパンチパーマの男、怪しいでしょ。でも、荷物の中身まで確認はできない」。業者は目で合図しながら、そうささやいた。
 経済産業省が今年3月にまとめた調査によれば、郵便受取代行を営む業者は全国で1万以上。市場規模は約37億円。ただ、アンケート調査の有効回答は全体の約9%にすぎない。それを上回る1453通が宛先不明で返送されてきた。本人確認の強化などを目的に今年3月公布された犯罪収益移転防止法は、郵便受取代行と電話受付代行を特定事業者の対象とした。ただし、犯罪抑止にどれほど効果があるかは未知数だ。

 多くの業者が善意の第三者なのは間違いない。ただ、前出の老舗業者は気になる話をする。「最近は詐欺グループが経営しているとしか思えない私書箱もある」。冒頭事件の関係先である新宿司法書士会館の私書箱を運営していた有限会社は、そこでの登記が見当たらない。同社のホームページを見ると、営業担当者の名字は逮捕者と同じだった。

(書き手:高橋篤史)

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