なぜ男たちは「藤原ヒロシ」に行列するのか 男消費、女消費はこんなにも変わってきた

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たとえば原宿ではジャニーズショップ、表参道の東急プラザでは「コナンカフェ」、ラフォーレ原宿の「デジモンアドヴェンチャー」、明治通り裏では「刀剣乱舞」と二次元発信のものがほとんど。例外はパンケーキくらいで、ファッションの街、原宿ですらファンビジネスの力なくては行列を生み出せない。

かつて服を買うために女性の行列ができたことは遠い昔だ。今でもラフォーレ原宿のセールには長い行列になるが、それも過去ほどの盛り上がりではない。欲しいものはECでじっくり厳選して買う。そう簡単に「行列」などしない。

女化する男消費、男化する女消費

このように発展してきたファッション業界の男消費、女消費だが、今後はどこに向かっていくのか。足元の状況を見ていると、筆者にはそれらが「交差」していくように見える。

たとえばマガジンハウスが発行する雑誌『& Premium』。雑誌不況の中、大部数ではないがコア読者を捕まえた媒体として着実に売れている。

ここで扱われているのは「モノ」語りだ。こだわりのシャツ、こだわりの雑貨、こだわりのインテリア。ファッションもライフスタイルの一部と捉え、そのこだわり、うんちくを語る。たとえば、6月号の特集は「心地よい、朝のすごし方。」。流行に左右されない良品を語る雑誌として存在する。リアルショップでも同様の現象が起きている。

一方の男消費のほうは、うんちくよりもコスパを求め、今までファストファッション化しづらかったスーツやコートといった重衣料でも、よりお手頃な価格帯が売れる。自分のこだわりよりも、週末参加するコミュニティにあった服を選ぶという傾向が生まれていく。また、10~20代の市場ではよりジェンダーレス化が進み、もはや男女別の売り場である意味が希薄になってきている。

つまり、男も女も、希薄な消費欲の中で、本当の意味で今自分の生活に必要なものを模索している。無駄がなく、コスパが高く、それでいて買うべきモノ。買うことだけじゃない、充足感の行き先とは何か。

銀座ではオープンしたての大規模商業施設「GINZA SIX」が話題だ。ここも2000人を超える人がオープン時に行列をつくった。その彼らが求めたのは何だったのか。

私は出てきた人たちの手にショッピングバッグがほとんどなかったことが気になった。

赤坂1丁目再開発渋谷駅再開発品川再開発浜松町再開発……。これから東京にはまだ次々と新しいショッピングビルがオープンする。2020年に向けた新しいショッピングタウン東京。そして、アフター2020年。この街の消費はどこへ向かうのか。消費の大きな岐路に私たちは立っている。

(=敬称略=)

軍地 彩弓 編集者

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ぐんじ さゆみ

大学在学中から講談社の『Checkmate』でライターのキャリアをスタート。卒業と同時に『ViVi』でフリーライターとして活動。その後、雑誌『GLAMOROUS』の立ち上げに尽力。2008年に現コンデナスト・ジャパンに入社。クリエイティブディレクターとして『VOGUE GIRL』の創刊と運営に携わる。2014年に自身の会社、株式会社gumi-gumiを設立。『Numéro TOKYO』のエディトリアルアドバイザー、ドラマ「ファーストクラス」のファッション監修、Netflixドラマ「Followers」のファッションスーパーバイザー、企業のコンサルティング、情報番組のコメンテーター等幅広く活躍。

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