加計学園"総理のご意向"文書「流出」の舞台裏 背後に見え隠れする「麻生vs菅」の構図

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このように「麻生vs.菅」という官邸内の争いがそのまま反映された衆院福岡6区補選だったが、父親の弔い合戦に加えてブリヂストンを創業した石橋家の威光も背負っている二郎氏が10万6531票を獲得して大勝。蔵内氏は2万2253票と惨敗した。

補選の後、勇夫氏が「4人組(安倍晋三首相、菅義偉官房長官、山本有二農水相、松野博一文科相)にやられた」と嘆いていたのを、福岡県関係者は目撃している。

そしてこの時のしこりは、後に森友学園問題が発覚した時に噴出したといっていいだろう。籠池泰典前理事長が口利きを求めた面談記録が3月1日の参議院予算委員会で共産党の小池晃書記局長によって明らかにされたが、そもそも籠池氏から陳情を受け、その記録を作成したのが麻生派の重鎮である鴻池祥肇元防災担当大臣の事務所だった。

当初、小池氏は鴻池氏の名前は明かさなかったが、1日の夜に鴻池氏が記者会見すると、翌2日午前の参院予算委員会で同事務所が鴻池事務所であることを明言。いわば小池氏は鴻池氏に「仁義を切った」ことになる。

菅長官は「そのような事実はない」と否定

このような文脈ともピタリと符合する「総理の意向」文書だが、菅長官は5月17日の官房長官会見で、「そのような事実はない」と全面的に否定。「あの文書がどういう文書で、作成部局だとか明確になっていない」「通常、役所の文書はそういのはないと思う」と述べた。また文書は個人のメモではないかという質問に対しては、「そういう文書にいちいち政府が答える問題ではない」と不快感をあらわにした。

しかし朝日新聞は「加計学園による獣医学部計画の経緯を知る文科省関係者は取材に対し、いずれも2016年9月~10月に文科省が作ったことを認めた」としている。

本当のところはどうなのか。ある野党関係者は期待を込めてこう言った。「森友学園問題の時も『証拠がない』といっていたが、財務省のテープが出てきた。今回も証拠が次々に出てくるのではないか」。

それでも安倍内閣は高支持率を維持し、その地位は揺るぐことはないだろう。一強政治が続く中では、闇は深まる一方だ。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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