「ウェブの漫画が紙を食う」時代は終わった 「少年ジャンプ+」などひしめく漫画アプリ

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現在は複数のオリジナル漫画も連載する。アプリで漫画を提供すれば、数十万もの読者の目に触れる。アプリは、読者と作品の接点になりつつある。

ウェブ媒体のオリジナル連載から、紙の単行本のヒット作も生まれている。

「すげえわ」「コレ、ジャンプでやれるんだ」「久しぶりに神漫画って奴に出合えた気がする」。

昨年4月18日、ツイッター上を衝撃が駆け巡った。「少年ジャンプ+」に新作『ファイアパンチ』第1話が公開されるや、読者の熱いコメントが相次いだ。

「少年ジャンプ」副編集長で「少年ジャンプ+」担当の細野修平さんは、「ウェブ媒体は、読者からの反響がダイレクトに返ってくる。18年間編集者をやっていて、ここまで勢いのある作品ははじめて」と振り返る。

王道から外れた作品も

「再生」や「発火」など特殊な能力を持つ「祝福者」らの闘いを描いた同作は、連載開始から1年、既刊4巻で累計発行部数40万部を達成した。

「ウェブには、『少年誌の王道』という本誌のターゲットから若干はみ出す、いい意味で尖った作品が集まります」(細野さん)

『ファイアパンチ』も衝撃的な描写が編集会議でネックになり、「ジャンプ+なら」と他媒体から回ってきた。

人気作は、確実に漫画アプリの読者を増やす。「ジャンプ+」も『ファイアパンチ』と、同時期連載開始の『終末のハーレム』で、30万~40万人ほど読者が増えたという。現在の月間公開ページ数は1900ページ前後、多い月で2200ページにものぼる。ページ数から見れば、本誌を超える勢いだ。

「ウェブで人気でも単行本が動かないケースもありますが、ウェブで十分採算は取れています。紙の売れ行きにかかわらず、『ウェブで読まれる』=『成功』という図式も生まれつつあるのでは」(同)

ピクシブ株式会社/イラストのボードが掲げられたカラフルなオフィスで、若い社員らが業務にあたっている(撮影/工藤隆太郎)

漫画アプリの担当者たちが、最も力を入れているのが、未来のヒット作をつくる新人の発掘だ。各社取り組みを行うなか、才能の集まる場として異彩を放っているのが、イラスト投稿・交流サイトpixiv(ピクシブ)だ。月間利用者数はのべ4千万人。同サイトで、プロ、アマ問わず、描き手の投稿したイラストや漫画が注目され、出版に結びつくケースが増えている。

ピクシブ取締役会長の永田寛哲さんは、「ここまでの規模の成長は想定外」と言うが、「絵とストーリー、異なる二つの才能が要求される『漫画』だが、絵一枚で勝負できる土俵があるとわかったためでは」と分析する。

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