公明党は「独特のバランス」を崩していない 「百合子グリーン」の3面ポスターが持つ意味

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このような都議会での自公分裂を奇貨としてとらえ、乗じようとしたのが小池知事だった。都議会で安定した支持基盤がほしい小池知事は、23議席を擁する都議会公明党に秋波を送った。

「小池知事は2020年のオリンピック・パラリンピックの経費削減や情報公開など公明党が主張する政策に理解を示した。これでわれわれがどちらと組むべきか、すでに明らかだった」

過去の都議選でも自公には摩擦

この公明党都議は、その選択に迷いはなかったことを証言している。「そもそも都政と国政は同じではない。国政選挙では公明党は自民党に協力しているが、われわれは選挙の都度、自民党と闘ってきた」。

実際に過去の都議選においても、自民党は公明党の議席を脅かした“前歴”がある。2013年の都議選では目黒区(定数3)で自民党から2人の候補を出馬させた。次期都議選でも、増員となった北多摩3区(定数3)や町田(定数4)で2人の候補擁立を検討しているという。

いずれも公明党が独自候補を擁立する選挙区であるため、そんな自民党に公明党は警戒心を隠さない。上記の都議はこう述べる。「都議選に関する世論調査では自民党は大敗するという数字が出ているが、自民党は地元を着実に固めており、かなり強いとわれわれは見ている」。

小池知事が8割近い支持率を保持し、都民ファーストの会が強い今、公明党が議席を争う相手は旧来の保守票を分けあう自民党。その一方で都民ファーストの会に対しても、一定の距離を保っているようだ。別の公明党都議は「小池知事に対しても、協力は選挙まで。その次はどうなるか決まっていない」と打ち明けた。

そういう観点でこの度の“百合子グリーン”の3面ポスターを見れば、ある意味で感慨深いだろう。そもそもグリーンは「バランス感覚」を意味する色。公明党の小池知事への接近はまさに絶妙なバランス感覚の結果ともいえるが、はたしてその勘どころはどこまで続くのか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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