広がる?朝ラッシュど真ん中の「座れる特急」 出勤時もゆったり…は実現するか

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既存のロマンスカー・EXEをリニューアルし、3月から運行を開始する「EXEα」の車内(撮影:尾形文繁)

このような動きは他社でも見られる。小田急電鉄は、2018年3月に予定しているダイヤ改正で朝の上り特急列車を増強する計画だ。ロマンスカーの愛称で親しまれる特急は現在のダイヤでも朝方に運転されており、東京メトロ千代田線に乗り入れて霞ヶ関や大手町などの都心部に直通する列車もあるが、朝8時台に新宿や大手町などに到着する特急はない。

だが、2017年度末には小田急が長年進めてきた複々線化事業がいよいよ完成予定。2018年3月に行うダイヤ改正では、現在ピーク時1時間あたり27本の運転本数を36本まで増やす予定だが、特急についても朝7時台~8時台に新宿や大手町に到着する列車を、現在の3本から7本に増発する計画だ。

増えるか、朝の「座れる列車」

同社は昨年12月から今年1月中旬にかけて、朝方に運転する特急の愛称募集を実施。さらに、複々線完成・ダイヤ改正より1年以上前の昨年12月末から、複々線化による利便性向上などをPRする広告を、沿線をはじめとする首都圏で展開しており、複々線完成後への意気込みがうかがえる。

朝方の「座れる通勤列車」はJR東日本も各路線で運行しているが、小田急線と同様に小田原方面と都心を結ぶのは「おはようライナー新宿」「湘南ライナー」だ。このうち「おはようライナー新宿」2本と「湘南ライナー」3本は朝8時台に都心のターミナル駅に到着するダイヤ。来年の小田急ダイヤ改正後は、これらの列車と小田急の特急が「座って行ける通勤の足」を競うことになりそうだ。

人口減少社会に突入する中、鉄道各社は沿線人口の増加や維持に向けた施策を模索している。朝ラッシュ時でも追加料金さえ払えば座れる列車の運転は、特に郊外へと伸びる路線の魅力をアップする一つの手段として、今後広がるかもしれない。

もっとも、まずは一般の通勤列車の混雑を少しでも緩和してほしい、という声も多いだろうが……。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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