アフリカ「人口ボーナスの果実」は早い者勝ち 「DMM.com×ビィ・フォアード」対談〈後編〉

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亀山:これは商売の基本だけれども、レッドオーシャンでいくら頑張ってもダメなんだよ。日本はこれから人口が減って、経済規模自体はシュリンクしていく。そのなかで勝ち残っていこうとしたら、同業他社のシェアを奪わなければならない。これって、完全に足の引っ張り合いだよね。

でも、例えば、ITはちょっと違う。ITの競争相手って、同業者よりも既存勢力でしょ。たとえばフィンテック企業の競争相手は、既存の銀行や証券会社になる。だから、実はIT企業同士はお互いに知恵を出し合って、既存勢力と競争している。

それと同じことが、アフリカビジネスにも当てはまるんじゃないかな。アフリカ経済のポテンシャルは非常に大きいので、そこでビジネスを展開する際にも、レッドオーシャンの中でシェアを奪い合うなんてことをせずにすむ。とても良いことだよね。

山川:実際にビジネスを展開していて、それは本当に思いますね。アフリカのマーケットって、まだまだ無限大の可能性を秘めていると思います。

決済と物流にはチャンスあり

亀山: だからこそ、他の企業がこぞって参入する前に、アフリカの地を踏んだほうが良いと思うんだよ。日本企業が大挙して押し寄せたら、向こうの人たちも誰に会えば良いのか選りすぐりしてくる。

でも、まだ誰も行こうとしていないから、この段階で一歩を踏み出せば、誰でも会ってくれるよ。おそらく、政府の偉い人に会うことも、そう難しくない。だから、5年後に1億円を投資するという事業計画を立てて、今から準備をし、満を持して5年後に参入するのであれば、今から毎年2000万円ずつ、5年間で継続的に投資を進めていったほうが良いだろうね。とにかく一歩を踏み出すことだよ。

うちなんか、アフリカビジネスをやろうと決めたとき、社内でアフリカに行きたい社員を募って、1人につき100万円ずつ持たせて、「徒党を組むな。リスクを恐れず行きたいところに行け」と号令を出したんだよ。ほとんど成果は上がらなかったけれども、それでもチャレンジしてみる価値は、十分にあると思っている。

今は1人だけをアフリカに残し、25人のスタッフを現地で採用して、ビジネスのタネを探しているところ。売り上げ、まだ5万円にしかなっていないのは愛嬌だけれども、うちは他にもいろいろなビジネスをやっているから、そこで得た利益の一部をアフリカに回しているんだ。カネなんて、貯め込んでいても仕方がない。そんなことをするくらいなら、とにかくカネ持って騙されて来いってくらいのもんだよ。傷だらけになってもいい。最後まで立ち続けられることが大事なんだ。

山川 博功(やまかわ ひろのり)/ビィ・フォアード代表取締役社長。ワイズ山川代表取締役。1971年福岡県出身。1993年明治大学文学部卒業後、東京日産自動車販売入社。1996年に退社し、転職を繰り返した後、1997年中古自動車買取業のカーワイズ入社。1999年にグループ内で独立し、ワイズ山川を設立。2002年より中古自動車輸出を開始、2004年に中古自動車輸出部門を分社化、ビィ・フォアードを設立。著書に『グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業』(講談社プラスアルファ新書)がある。

山川:うちは今、日本の中古車をアフリカに輸出して、それで利益を上げているわけですが、今後はアフリカに進出したいと考えている企業に対して、コンサルティング的なことをしたり、あるいはアフリカで中古車を流通させるための物流網が築けたので、中古車以外の日本製品をアフリカに流通させたりしようと考えています。亀山さんが、アフリカでこれなら勝機がありそうだと考えているものは何ですか。

亀山: ペイメント(決済)は押さえたいところだね。将来的に、アフリカでもeコマースが伸びてくるのだとしたら、同時にeマネーも展開させたいよね。それと物流。それこそヤマト運輸や佐川急便をアフリカに持っていきたいくらいだよ。そうすれば決済から物流まで押さえることができるから、アフリカでビジネスを有利に展開する可能性が一挙に開ける。

とにかく、何もないから何でもできる。これがアフリカビジネスの魅力だし、これから5年を勝負と考えて、この間にある程度の形を作りたいね。

山川:いや、貴重な意見が聞けました。今回はありがとうございました。

亀山:こちらこそ。

東洋経済新報社 出版局
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