中国で民族系自動車メーカーが躍進するワケ 欧州仕込みのデザインで侮れない存在に

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ただ、カルロス・ゴーン社長は「民族系の競争力が上がり、2016年はほとんどの外資メーカーはシェアを伸ばすのが難しかった」と不満を漏らす。実際、日産の2016年シェアは2015年から0.2ポイント減少。日系メーカー全体でもシェアを0.2ポイント落とした。一方、民族系のシェアは同1.4ポイント増と躍進した。

その理由について、中国の自動車市場に詳しい現代文化研究所の呉保寧・上席主任研究員は、「民族系は外資系との競合が少ない小型SUVに注力してきた。デザイン性が高い新型車で20〜30代の取り込みに成功した」と分析する。

中国の乗用車販売に占めるSUVの割合は、2013年の17%から2016年は37%まで急上昇。民族系のSUVは日系の半額程度と価格競争力がある。

デザインについても、民族系は欧州出身者や欧米留学経験がある中国人デザイナーを積極採用。日産のデザイン部門を統括する中村史郎専務執行役員は、「民族系のSUVはよくなった。ロゴを欧州ブランドに替えても違和感がないくらい」と舌を巻く。

低価格車にも注力

中国政府は12月15日、2017年の小型車の取得税を7.5%に引き上げ、2018年に税率を元の10%に戻すことを発表した。2016年に伸びすぎた販売にブレーキをかける一方、急激な反動減を回避し、軟着陸を目指すものと考えられる。そうした中で、2017年の新車販売は、同国の経済成長率並みの6〜7%程度は確保するという見方が大勢を占める。

日系メーカーにとって2017年の台数増は当たり前、減税の追い風が続くうちにいかにシェアを高めるかが問われる。日産は中国で低価格帯の地域専用ブランド「ヴェヌーシア」も展開している。同ブランドで新型車を数車種投入して低価格帯を拡充、民族系に勝負を挑む構えだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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