一方、廃炉にかかる費用は厳密なものではなく、債務として認識する必要はないとされる。東電の連結純資産(2016年9月末時点で2兆2686兆円)を大幅に上回るにもかかわらず、経産省幹部は東電自体が債務超過に陥ることはないとの見通しを示している。東電は、送配電事業子会社が合理化努力によって捻出した利益を廃炉事業に回すことで、30~40年もの超長期にわたって廃炉費用を賄う。しかしながら、費用が合理化努力分を大きく上回ることになれば、今回のシナリオは根底から崩れる。
廃炉・汚染水対策の費用捻出に際して、電気料金の値上げを求めないことから、経産省では国民負担は生じないとの見方を示している。しかし、この見方には問題がある。
送配電子会社の合理化努力分は、現在のルールでは送配電線の利用料(託送料金)の引き下げに充てることが義務づけられている。だが今回、東電に限って特別扱いで引き下げを求めない。つまり、本来下がるはずの託送料金が高止まりするという点で、利用者に負担が転嫁されることを意味している。
賠償費用のつけ回しに反対意見
さまざまな費用の中でも、賠償費用の負担のさせ方は異例中の異例だ。賠償費用の負担方法については、経産省が設置した「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(以下、貫徹小委)の財務会計ワーキンググループで主に審議された。
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