32歳婚活女子を混乱させる浮気男の「言い訳」 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<16>
典型的な結婚できない女、杏子、32歳。慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2000万円を優に超える。
美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。
婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。婚活アドバイザーの直人からアドバイスを受け、少しずつ男女のノウハウを学んでいく。そして2回目のマッチング相手・正木とイイ感じになったと思いきや、まさかの大失恋。杏子は傷心の折、元彼の知樹とヨリを戻すことに。しかし、同期のモテ女・由香の口から、知樹の悪評を知り……?!
ドズ黒く渦巻く男への憎悪と、Bランク女の世界の実感
―ねぇ、私たちって、ヨリを戻したんだよね?―
杏子は、知樹に思い切ってラインを送信したが、すでに3時間ほど、既読スルーされていた。
「知樹にしてやられた」という怒りが、杏子の心の中で、沸々とドス黒く煮えたぎる。
―まさか、この私が、騙されるなんて……!
杏子はどちらかと言うと、美人で仕事もデキ過ぎて隙がなく、「近寄り難い美女」と位置づけられてきたはずだ。
よって、大衆的に「モテ」はしなくても、少なくとも「人」としては尊敬されており、身体を目的に寄って来る男など、ほとんどいなかったと言って良い。
相当なVIPレベルの年上の男にやんわりと愛人の誘いを受けたことはあれど、同年代の男なんぞに軽く見られるなど、初めての経験だった。
―これが、市場価値Bランク女の世界だってこと……?
不本意ながらも、杏子はそう実感せずにはいられなかった。
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