32歳婚活女子を混乱させる浮気男の「言い訳」 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<16>
ドズ黒く渦巻く男への憎悪と、Bランク女の世界の実感
―ねぇ、私たちって、ヨリを戻したんだよね?―
杏子は、知樹に思い切ってラインを送信したが、すでに3時間ほど、既読スルーされていた。
「知樹にしてやられた」という怒りが、杏子の心の中で、沸々とドス黒く煮えたぎる。
―まさか、この私が、騙されるなんて……!
杏子はどちらかと言うと、美人で仕事もデキ過ぎて隙がなく、「近寄り難い美女」と位置づけられてきたはずだ。
よって、大衆的に「モテ」はしなくても、少なくとも「人」としては尊敬されており、身体を目的に寄って来る男など、ほとんどいなかったと言って良い。
相当なVIPレベルの年上の男にやんわりと愛人の誘いを受けたことはあれど、同年代の男なんぞに軽く見られるなど、初めての経験だった。
―これが、市場価値Bランク女の世界だってこと……?
不本意ながらも、杏子はそう実感せずにはいられなかった。



















