トヨタも乗る、ビッグデータの波 車両走行データ、自治体や企業へ提供

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従来、G-BOOKで蓄積してきたプローブ・カー・データは、純正カーナビ向けなどトヨタ内部での利用に限ってきた。今回、外部にサービスを提供することについて、友山茂樹常務役員は「幅広く社会の要請に応えるために提供を決めた」という。いずれはビジネスとして育成するが、「まずは社会性の高いサービス向けに提供し、売り上げを目標とはしない」(友山常務)とのことだ。

また、このプラットフォームを用いて個人向けのスマートフォン向け情報サービス「smart G-BOOK」も一新する。ゼンリンデータコムと共同で新しくナビゲーションアプリを開発、渋滞情報を加味したルート探索を可能にした。ユーザーが、「渋滞」や「冠水」などといった道路状況をアイコン形式で投稿する機能も持たせている。利用料は年額2500円で、一部の機能は無料でも利用できる。

自動車メーカーの間では、プローブ・カー・データを自社テレマティクスサービス以外のさまざまなサービスに活用する動きが広まっている。

ホンダのデータ提供は震災時に活躍

「インターナビ」の名称でテレマティクスサービスを展開しているホンダは、東日本大震災の際に、インターナビで収集した被災地のプローブ・カー・データをグーグル、ヤフーに提供、通行可能な道路が確認できる「通行実績情報マップ」を公開した。また、この3月には、埼玉県を対象に、急ブレーキ多発地点など危険カ所情報をマップ表示する「SAFETY MAP」サービスを、一般向けに開始している。

大手IT企業を発信地として、自動車業界にも本格的に押し寄せてきたビッグデータの波。新たなビジネスチャンスを生むきっかけとなるかもしれない。

(撮影:今井 康一)

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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