発覚!カラオケ「シダックス」が大量閉店へ 旗艦店の渋谷をはじめ、全国44店を8月末閉鎖
だが、隆盛は長く続かない。「シダックスの問題は大型店が中心で、郊外に出店していたこと」と複数の関係者は指摘する。当初は高収益を生んだ大型店だが、カラオケブームの終焉に加えて、低価格のカラオケが台頭。収益管理を徹底しなければならないのに、冒頭の渋谷本店のように「どんぶり勘定で、暇な時間にも大勢のアルバイトがいた」(関係者)という事態が収益を悪化させたようだ。
2016年3月期にカラオケ事業は売上高307億円(前期比16.7%減)、セグメント損失は21億円(前期は15億円の黒字)の赤字に転落。現在、グループに占める売上高は2割弱に過ぎない。
首位ビッグエコーに水をあけられ
カラオケ事業の低迷に直面したシダックスは、2016年3月末に同事業の資産約25億円を減損。また収益性が低下した店舗約100店を別子会社に移し、同社株式の65%を外部の取引先などに譲渡している。
グループとしては不採算店を持分法適用会社化したことで、本体への収益インパクトを軽減しているかたちだ。
今回、閉店の対象となっているのはこの持分法適用会社の保有する店舗で、9月末までに「累計で60店弱を閉店することになるようだ」(関係者)。グループ直轄のシダックス・コミュニティーの店舗で閉鎖したのは2店にとどまる。
持分法適用会社の残りの40店近くについては、訪日外国人観光客(インバウンド)向けに改装し、ランチ需要などの取り込みでテコ入れをしていく方針。会社側は「大半の店舗は減損済み。持分法適用会社のため、閉鎖関連特損が出ても、シダックス本体に与える影響は限定的」とする。
現在、業界では業務用通信カラオケシステム「DAM」を販売する第一興商グループの「ビッグエコー」が首位で、シダックスは2位クラスとされていた。今年3月末時点で269店あった店舗数は、200店前後までに目減りし、存在感低下は避けられそうにない。
会社側は「カラオケ事業からの撤退はない」と否定する。ただ、同事業がグループ全体の足を引っ張っているのも事実。今回の大量閉店でリストラが完了する保証もない。かつてカラオケ業界の雄でもあったシダックスは、重大な転換点を迎えている。
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