なぜ「シン・ゴジラ」で鉄道が大活躍するのか 庵野総監督の「鉄道愛」が名場面を生み出す

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「乗り鉄でもなく撮り鉄でもない。自分は模型鉄ですね」。買った模型は時たま走らせる程度という。多忙な庵野氏にレイアウトを制作して走らせるという時間はないのかもしれない。レイアウトについては「老後の楽しみにとっておきます」とのことだ。

500系と鉄道模型の話題を中心にトークは展開され、終了時間がやってきた。このまま「シン・ゴジラ」について触れられることなくトークが終了するのかと思いきや、最後の瞬間に、なんといっしょに壇上にいた関水金属の加藤浩社長から「シン・ゴジラで鉄道が大活躍しているシーンについてぜひ語ってください」というリクエストが飛び出した。

本編の3倍、鉄道シーンを撮影した

加藤社長に促され、庵野氏は「シン・ゴジラ」について語り出した。映画には江ノ電が登場する。庵野氏のお気に入りは最古参の300形。が、なにしろ1編成しか残っていない。そこで300形が運行する時間を時刻表で調べて撮影に臨んだ。その映像をゴジラ出現で逃げ惑う人々のシーンと合成した。「このシーンはものすごくおカネがかかっています。でも監督の樋口(真嗣氏)も江ノ電ファンですから意見は割れませんでしたね」。

庵野氏はこうも言う。「映画に鉄道のシーンはたくさん出てきますが、その3倍は撮影しました。全部使うと鉄道ばっかりの映画になってしまうので編集で切らざるを得ませんでした」。

やむなく割愛した鉄道シーンを復活させた「シン・ゴジラ・ディレクターズカット版」を、ぜひ見てみたいものだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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