消防車、知られざる裏側

頭打ちの市場で成長、最大手モリタの秘訣

モリタホールディングスの中島正博社長

モリタはここでも手を緩めない。この泡消防車は、さらなる進化を果たした。ポンプを小型・軽量化し、その分、これまで最大600リットルしか積めなかった水を800リットルまで積めるようにした。これで、初期消火における放水時間を延ばせる。

中島社長は熱を込める。「200リットルはすごい差なんです。一般の方は、『放水時間が数分延びます』といっても『それが何なの?』と思うかもしれませんが、消防関係の人は『なるほど』と思う。今までと同じ製品だったら、自治体の財源はつかない。『古いか新しいかだけの差だろう?今の消防車も使えているのだから、整備はしっかりやって、来年か再来年に買えばいいじゃないか』と言われてしまいますから。

モリタは、コンビニ業界と同じことに取り組んでいます。従来、コンビニのターゲット層は若い人たちでしたが、客数が増えないので、今は中高年層を取り込もうとしている。今回の新しい泡消防車の投入も同じ理屈です」。

どんな製品にも改善の余地はある

「どんな市場にも絶対、需要はあり、どんな製品にも改善の余地はある」。中島社長は言う。「改善提案が出ないような会社や事業は成功しないと思いますよ」。

ユーザーの要望をもっと的確に製品に反映させるため、モリタは営業畑出身の岡田泰次氏を兵庫県の三田(さんだ)工場長に据えた。岡田氏は「営業担当から設計担当への伝言ゲームでは、うまく伝わらないこともある。設計担当がユーザーのところに行って、自分の目で見てこなければいけない」と話す。今後は技術者が外に出る機会をもっと増やしていく予定だ。

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