米7月雇用+25.5万人、大幅な伸び継続 年内利上げ観測強まる

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 8月5日、7月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が25万5000人増と、市場予想の18万人増を上回った。就職セミナーの会場。1月撮影(2016年 ロイター/Gary Cameron)

[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が発表した7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が25万5000人増と、市場予想の18万人増を上回り、前月に続き大幅な伸びを記録した。賃金は上昇し、過去2カ月分の雇用者数の伸びも上方修正されるなか、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げ観測が強まった。

失業率は4.9%で前月から変わらず。アナリストは4.8%への低下を見込んでいた。雇用者数は6月分の増加数が29万2000人に、5月は2万4000人にそれぞれ上方修正された。この結果、過去2カ月間で計1万8000人の雇用が上乗せされた格好だ。

時間当たり賃金は前月比0.3%増、前年比2.6%増だった。生産活動に従事し得る年齢の人口に占める働く意志を表明している人の割合、いわゆる労働参加率は62.8%と、0.1%ポイント上昇。週平均労働時間は0.1時間増加し34.5時間だった。

バンク・オブ・アメリカ(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、ミシェル・メイヤー氏は「7月の雇用統計はあらゆる面で期待以上の内容となった。労働市場の底堅さが他の指標からも裏付けられれば、FRBは年内の利上げに踏み切るだけの十分な根拠を得ることになるだろう」と話した。

市場の反応はドル高、株高、債券安となり、S&P500指数<.SPX>は取引時間中の最高値を更新した。

米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)の首席エコノミスト、ダグ・ダンカン氏は「全般的に非常に強い内容で、経済が雇用面でFRBにとって望ましい方向へ進んでいることがうかがえる。年内利上げの可能性をある程度後押しするものだ」と述べた。

雇用が2カ月連続で大幅に伸びたことで労働市場に対するFRBの信頼は強まったといえる。FRB当局者らは労働市場が完全雇用かそれに近い状態にあると認識しているほか、イエレンFRB議長は、毎月10万人弱の雇用増を確保できれば労働力への新規参入者を吸収できると明言している。

世界的な不透明感が根強く、11月に大統領選を控えるなかで、エコノミストの間では12月まで追加利上げはないとの見方が多くなっている。金融市場では、雇用統計発表後、フェデラル・ファンド(FF)金利先物が織り込む年内利上げの確率が約46%と、統計発表前の約34%から上昇した。

製造業の雇用者数は9000人増。6月の1万5000人増から伸びは鈍化した。建設は1万4000人増と、4カ月ぶりにプラスに転じた。鉱山は7000人減。専門職は7万人増と10月以来の高い伸び。小売りは1万4700人増、レジャー・接客は4万5000人増、人材派遣は1万7000人増、ヘルスケア関連は4万8800人増加した。政府関連は3万8000人増。

生産年齢人口に占める就業者の割合である就業率は59.6%から59.7%に上昇。現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は9.7%で、前月の9.6%から上昇した。

オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国マクロ経済部部長、グレッグ・ダコ氏は「企業は労働市場への投資や人材確保に向けた賃上げを行う用意がある。力強い雇用と底堅い賃金の伸びは、引き続き個人消費や所得への追い風となるだろう」と語った。米アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第3・四半期の米国内総生産(GDP)伸び率は年率3.8%と予想されている。

労働市場における緩みは大半が解消されているほか、2007-2009年に見舞われた景気後退(リセッション)からの回復の流れも勢いが失われつつあるとみられる。こうしたことから「労働市場が成熟するに伴い雇用の伸びは今後1年間で鈍化すると予想されるものの、半面、緩みの解消が賃金の伸びにつながる状況も期待される」(前出のダコ氏)という。

 

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