大手化学メーカー、自動車用途の強化に走る 車体の軽量化ニーズに大きな商機

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自動車分野の強化は三井化学も同様だ。「(自動車関連の)モビリティ領域では積極的に資金を投じていく。得意とするPPコンパウンドの能力拡大を急ぎたい」。同社の淡輪敏社長は、5月に開いた経営方針説明会でこう力をこめた。

PPコンパウンドは、改質剤などを混ぜて特定の機能を高めたポリプロピレン系のプラスチック樹脂。顧客の要望に合わせて強度を増したり、耐熱性を高めたりするなど、配合を変えてカスタマイズする。主に自動車のバンパーやインパネ、ピラー(自動車の窓柱)などに使われている。

三井化学、旭化成も自動車向けを成長の軸に

三井化学は日本や米国、メキシコ、タイ、中国など世界8カ国で自動車用のPPコンパウンドを生産。日系自動車メーカー向けでは約6割のトップシェアを誇り、同商材を柱とするモビリティ事業は全社利益の過半を稼ぎ出す大黒柱だ。特に成長性が高い米国、メキシコ、インドの生産拠点については、2017年までに生産能力を増強する。

旭化成が4月に発表した新中計は、自動車分野の強化が目玉の一つだった。写真は同社の小堀社長

旭化成も今年度から始まった新中期経営計画で自動車分野の強化を謳う。

その一貫として、内装やエンジン周り用途の高機能樹脂、省エネタイヤ用合成ゴムなどの素材を一元的に売り込む「オートモーティブ事業推進室」を4月に立ち上げた。

旭化成は電子部品メーカーでもあり、車間距離や障害物などを認識する同社のセンサー技術は自動車の安全対策で大きな注目を集めている。「独自性が高いセンシングデバイスを切り込み隊長として、樹脂や繊維なども総合的に提案していく」と小堀秀毅社長。現在、自動車関連の事業規模は1000億円程度(二次電池用セパレーター除く)だが、「2025年には3000億円ぐらいにまで伸ばしたい」と意欲満々だ。

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