村上隆(下)「クールジャパンはアホすぎる」 「未来国家・日本」が抱える大問題

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――村上さんは、中東でも積極的に活動しています。

カタールですね。すごく親日的です。砂漠なので、日本人が生活していくには厳しい環境ですが、日本と文化をすごく交換したがっています。中東は、多くの宗教が発祥した土地であり、自然の極限状態の中で人間社会を組織しているので、学ぶべきことがたくさんあると感じています。

2012年2月、カタール政府が首都ドーハで日本との国交樹立40周年記念として村上氏の個展を開催。全長100メートルの五百羅漢図が話題を呼んだ。 (C)Chika Okazumi

――今の日本で、期待しているリーダーはいますか? 橋下徹さんを支持する発言をしていますが。

石原元都知事との合体する前の維新の会には期待していました。政治なので、ああ言ったりこう言ったりは仕方がないと思いますので、今は期待しつつも静観し、結果を出していくプロセスを見てみたいと思っています。

なにせ、僕は原発がこの社会からなくなってほしいと念じ続けている人間なので、その争点がブレた時点では維新の会への熱が冷めたことは事実です。あと、アイデアマンの猪瀬直樹さんには、ぜひ東京都知事になってほしいですね。

上隆(むらかみ・たかし)
アーティスト。カイカイキキ代表

1962年、東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。世界のアートシーンに新しいコンセプトを提案したSUPERFLATプロジェクトは6年をかけてロサンゼルス、パリ、ニューヨークを回り、ラストとなった「LittleBoy」(NY ジャパンソサエティ/2005 年)はニューヨークの美術館開催の最優秀テーマ展覧会賞を受賞。08年、TIME マガジン<世界で最も影響力のある100人> に選出。主なコラヴォレーションにルイ・ヴィトンや六本木ヒルズ、カニエ・ウェストがある。代表的な展覧会はベルサイユ宮殿での個展「MURAKAMI VERSAILLES」(2010年)。実写映画『めめめのくらげ』シリーズやアニメ作品「6HP」など映像監督としての作品も公開されていく。

――ビジネス分野で、注目しているリーダーはいますか?

ビル・ゲイツの小規模原発事業の拡散に興味があります。僕の大嫌いな原発を使って、世界平和、特に貧困と闘う武器にしようとしています。短期的なショック療法でしか、世界の貧困は快癒できないと見立てて、実行しようとしているのか。その争点が知りたい。また、アメリカにある非営利の特にものすごい金額を集めている医療団体に興味があります。そういう人々は日本には出てきているのかしらって。

まったく別の話ですが、先日、ある成功者の新刊本を読みました。ある章で、僕の大好きなホリエモン(堀江貴文)を批判していました。「ああいう奴が出てくるから、日本が駄目になる」と。でもそうなんでしょうか?

ホリエモンの登場によって、日本の資本主義の盲点、落とし穴が発見され、日本は資本主義の王道を本質的には輸入できていないことが露呈した。そこを彼や村上ファンドは利用したんです。法が裁いた事例ですから、そこへの異議反発はありませんが、世の中も批判だけしてハイ終わりな状況に納得できません。

日本がダメになった理由はああいった特異点の登場を、嫉妬の対象に仕立て上げ、経済の仕組みの欺瞞を暴くところまで到達出来なかったことだと思うので、なんか日本の経済人は、自分がよけりゃ、仕組みの歪みにまで着手するガッツがないんだなぁ~と、けっこうあきれています。で、成功譚と批判とは、おそまつです。

構造改革を行う者こそ、真のリーダーであるんです。

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