スズキも不正、独自の燃費測定に走った事情 過ちを犯した2010年、同社に何が起きたか?
――独自の計測はいつから行っていたのか。
本田治副社長:おおよそ2010年ころからやっていた。タイヤなど部品ごとに試験を行うための装置がすべてそろって導入したのが2010年ころだ。そのため同時期から始めていたと推定される。
――国が定めていない手法で取得した、燃費データを報告したことに関して、法令違反に当たるとの認識はあったのか。
本田:惰行法は外で実施するので、風の影響などを受けて安定したデータが取得しにくい。データのバラツキが少ない方法を、ついつい採用してしまったが、違法という認識はなかったのではないか。
燃費をあえてよく見せよう、という動機は決してなかった。的確なデータを効率的に収集したかったということだ。数字が全てを物語ると思うが、5月の連休期間中に惰行法でもあらためて調査したところ、出てきた結果は誤差の範囲内だった。惰行法の誤差範囲は、一般的に10%程度と言われているが、実際には5%にも満たなかった。
海外についてはルールに従っている
――海外で販売している車についてはどうか。
鈴木修会長:海外は現地のルールに従い、きちんとやっている。たとえばインドでは立ち会いのもとに計測している。
今回の反省点としては、現状で惰行法の計測が難しいのであれば、防風壁の設置をするとか、そういう設備投資をしてこなかったことだ。現場は苦労していたし、そうした声が上にも上がってくるような、風通しのよい組織に変えていく必要がある。
――三菱自動車も惰行法で試験を行わなかった。惰行法は今の時代にそぐわないという思いはあるか。
修:そういう声は出ていない。安易に走ったことを反省している。
本田:惰行法を完全にやめたわけでなく、並行して続けていた。しかし、惰行法での測定について、他のメーカーに比べて当社が未熟だった。たとえば相良コースの周囲には実験棟が建っている。そのことにより風に影響があったとも考えられ、自分たちで測定を難しくしていた可能性がある。
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