アマゾン超速便、日本で売れる人気商品は? プライム・ナウ事業のトップに聞いた

拡大
縮小

――日本では今後、どのようにプライム・ナウを展開していくのか。新たな対象地域を増やす予定は。

これまでの経緯を見てもらえば、サービスを積極的に拡大してきたことがわかるはずだ。顧客の支持があれば急速に展開していくことになる。

今回日本に来たのは、サービスを始めて4カ月が経ったので、日本のプライム・ナウ担当チームに直接会って、これまでの業績を振り返り、意見交換をしようと考えたからだ。日本はサービスの開始以来、好調だ。SNSなどでも評判がよく、将来性があるとみている。

――プライム・ナウは2014年12月に米ニューヨークで始まった。そもそも、どのようなきっかけで作られたのか。

アマゾンは創業以来、顧客に商品を届ける時間を短縮する取り組みを続けていて、その一環だ。プライム・ナウはスマートフォンのアプリとして使えて、非常に早く届けることができるのが特徴だ。

アマゾンは以前からモバイル端末からも便利に使えるようにしていたが、”超速”と呼べるようなサービスを作るには、スマホをベースにするのが最適という発想だ。サービスとプラットフォームの相性がいい。

サービスの構想が動き始めたのが2014年の8月で、そこから12月に実際に始めるまでに111日間と、とても短い時間で立ち上げることができた。ちゃんと時間内に指定の場所に届くかを確かめるために、実験を繰り返したことは大変だったが。

コストはかかるが、利益を出していく

――有料会員(プライム会員)向けサービスでは、映画やドラマを視聴できる「プライム・ビデオ」や音楽を楽しめる「プライム・ミュージック」もある。プライム・ナウは有料会員獲得にどのような役割を果たしているのか。

動画や音楽配信と比べた場合に、プライム・ナウがとてもユニークなのは、自分の時間を取り戻せる点にある。私は母親だが、外に買い物に出かけずに済むことで、息子と過ごす時間を多く持てるようになる。1日のうちにできることを増やせるし、より重要なことに時間を使えるようになる。

――1時間以内配送や、2時間ごとに区切った時間帯指定で届けるとなると、配送コストが高くつく。サービス単体で見ると収益面は厳しいのではないか。

(赤字かどうかなど)具体的なことは言えないが、確かにさまざまな投資が必要で、とてもお金のかかるサービスだ。しかし、顧客の支持を得て、そこから利益を生み出していくのがわれわれの仕事だと思う。簡単なことではないが可能だと思う。

このような非常に早い配送は、もちろん翌日配送よりも費用がかかる。ただ、米国の場合、以前は5日や3日かけての配送が当たり前だったのが翌日になり、当日配送となった。アマゾンは投資をしつつ、サービスを改善していくことが得意だ。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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