ついにビールのプライベートブランド登場、サントリーの大胆不敵
缶ジュースよりも安い”缶ビール”が現れた。 サントリー酒類は7月下旬から、イオンとセブン&アイ・ホールディングスのPB(プライベートブランド)向けに第3のビールを供給する。価格はイオンの「トップバリュ 麦の薫り」が350ミリリットル缶で100円、セブンの「ザ・ブリュー ノドごしスッキリ」も同6缶パックで600円と、メーカー品の店頭価格より1~2割安い。
これまで自社ブランドにこだわり、他社と棚を奪い合ってきたビール会社がPBと手を組んだ衝撃は大きい。過去にもメーカーは一部量販店専用の限定品を出してきたが、小売りのPB名を冠した商品を出すのはサントリーが初めてだ。「ビールは嗜好性が高い」(セブン)として、PBとしては異例の”Wネーム”を前面に打ち出す。
サントリーは「(PB供給は)限定品などを共同開発してきた延長線上」とするが、その効果は小さくない。
ビールの総需要が縮む中、第3のビールの売り上げは猛烈な勢いで伸びており、シェア争いの主戦場となっている。今回、イオンとセブンの販売目標は合計で年間200万ケース弱(大瓶換算)とサントリーの前期出荷量の約7%に上る。自社商品の場合、販売促進比をつぎ込み、売り場スペースを確保する必要があるが、PBならば労せず一定の出荷量を「上乗せ」できる。
サントリーは昨年、万年4位からサッポロを抜き3位に浮上した。ただ、その差はわずかなだけに、短期的には今回のPB供給が追い風になることは間違いない。