台南地震でビルが倒壊、手抜き工事が原因か

震源の浅い地震で9つのビルが倒壊

200万人が住む都市、台南では他にも9つの建物が倒壊し、5つに建物が傾いている、と政府の救急センターは述べた。

しかし消防署職員は、救助活動は17階建てのアパート1棟に集中した。現場は、1階のランドリーの列から子供服がはためき、漏れたガスの臭いが空中を漂う状況だった。「私はテレビを観ていました。突然の揺れの衝撃のあと、大きな音が聞こえました。あわててドアを開けると、反対側の建物が崩れるのが見えました」と、近所に住む71歳のChangさんは語る。

配管工である彼は、いくつかの道具とはしごを持って現場に行き、助けを求めて泣き叫ぶ女性を救出するため、窓枠のいくつかをこじ開けたという。「彼女は私に中に入るよう頼み、夫と子供を救出して欲しいと言いましたが、ガス爆発が怖くて中には入りませんでした。その時は助けを呼ぶ人がほかにもいました。しかし、私のはしごは十分な長さではなかったので、助けられませんでした」。

手抜き工事が原因なのか

その日の午前中、救助隊は、瓦礫の中に生存のサインを見つけるため、探知犬と音響機器を使った。当局は、維冠金龍ビルの中には96室あり、256人の登録住居者がいたが、倒壊した際、建物の中にはさらに人がいた、と述べた。市長のWilliam Laiは5人がその場所で行方不明になっている、と述べた。赤と黄色の作業着を着た救助隊は、瓦礫の中から240人の生存者を引き上げた。

市の役人は「手抜き工事が建物の倒壊の要因と断定するのは早すぎる」と説明している。しかし、市庁代理人の事務総長、Liu Shih-chungはこの複合ビルの瓦礫のテレビ映像をみる限り、鉄骨とセメントが劣悪に補強されている様子がわかり、手抜き工事の可能性が高いと説明する。

この複合ビルを建設した会社は、もう存在していない。2人の近隣住民は、この建物が1990年代前半に建てられていたとき、建設の様子に不安を感じたと証言する。「私は見ていて思いました。この街以外から来た人がここを買うのだろうと。私たち地元の住民は見ていますから、あえて買おうとはしません」と住民の1人、Yang Shu-meiは述べた。

馬英久総統のは台南にある救命センターと病院を訪問した。一方、次期総統の蔡英文は予定をキャンセルして救援活動の調整を行った。中国国務院台湾事務弁公室は中国は必要とあれば進んで協力する用意がある、と中国国家通信社の新華社は報じた。

台湾は地震活動の「環太平洋火山帯」に位置している。1999年の台湾中心部の大地震は、2400人の命を奪い、島全体に被害をもたらした。しかし、今回の地震による被害は1999年と比較して、ずっと軽微だ。産業への影響も小さい。大手半導体メーカーTSMCは、台南製のウェーハのいくつかが損害を受けたが、第1四半期の発送量の1%に悪影響を与えたに過ぎない、と述べた。台湾にある他の主要なアップルのサプライヤーも、営業に打撃はでていないと報告した。

(取材:Faith Hung ,Yimou Lee、追加取材:J.R. Wu, Carol Lee, Pichi Chuang, Eric Walsh, Eric Beech, Elizabeth Dilts, Jeanny Kao, Ben Blanchard、執筆:Mark Bendeich 編集:Robert Birsel,Elaine Hardcastle)
 

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