日本の電機産業に未来はあるのか 若林秀樹著
日本の電機業界が総崩れに陥っている。売り上げ、雇用とも最大の産業だけに影響は大きい。原因は自動車業界同様の米国発金融危機を引き金にした世界同時不況のように見えるが、主因は劇的な構造変化にあると本書は断じる。「デジタルバブル崩壊」が大手家電・民生電機業界の体制崩壊を促し、新たな業界再編は必至と見取り図を描く。
何より問題なのは、「2010年以降の成長分野、新市場がはっきりと見えてこない」こと。確かに一つの技術が生まれて、実用化し、本格離陸するには10年かかる。液晶やフラッシュメモリ、リチウム2次電池が現れ、デジカメ、フラットTVなどとして離陸していくのにほぼ10年を要した。
当面は、途上国のITインフラ整備期待が頼みであり、有望といわれるエコ関連品も補助金依存から簡単には脱せそうもない。
著者は電機アナリスト歴20年余。現在は投資側に転じているが、冷静な目で業界の今後を見通す。
洋泉社 1575円
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