スター・ウォーズは「不完全」だから成功した 作中で語らず、キャッチボールを楽しませる

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制作者は、この映画を作るに当たって、ファンの要望というものをこれでもかというほどリサーチしたに違いない。そして、その要望のほとんどすべてを、彼らの希望を大きく上回る形で実現させようとしているのだ。

アメリカで映画を見たことがある方ならご存じかと思うが、向こうでは映画は声を出しながら見るという文化がある。特に、面白いシーンや興奮するシーンなどは、口笛を吹いたり歓声を上げたり、立ち上がって拍手したりして楽しむ。だから、それしか知らないアメリカ人が日本の映画館に来ると、必ず面食らう。

面白いシーンほどみんなが黙っているので、「日本人にとってはつまらない」「スベっている」と勘違いしてしまうのだそうだ。

「神話」はどう描かれているか

今回の作品も、もしこれがアメリカの映画館だったら、スタンディングオベーション間違いなしというシーンがそこここにちりばめられていた。特に、各キャラクターの登場の仕方が練りに練られているので、いやが上にも盛り上がる。

また、ぼく個人としては「神話」が好きなので、今度の作品は「どれほど神話的か」というのが気になっていた。そして、見てきた結果はというと、神話の中でも最も重要なテーマである、あるモチーフを用いていることがわかった。だから、ぼくはそれに興奮させられたし、そう来たかと膝を打った。

その意味でも、この映画に対する満足度は、とても高かったのである。気の早い話だが、今から続編が楽しみだ。しかしまずは、その前に、この映画の感想を多くの人と語り合いたい。

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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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