男性が不慮の死「外国人収容所」悪化する惨状 今もハンガーストライキが行われている

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茨城・牛久にある東日本入国管理センター(牛久入管)の面会室(写真:Yuya Shino/ロイター)

現代の日本において空腹の末に命を落とす人がいるということは考えられないかもしれない。が、複数の情報筋によると、6月24日、長崎県の大村入国管理センターに収容されていた、不法滞在のナイジェリア人男性がハンガーストライキの末、死亡した。詳しい死因は明らかにされていない。

「サニー」と呼ばれていたその男性の名は、彼を知る被収容者によるとオカサ・ジェラルド(Okasa Geraldo)。3年7カ月にわたって大村センターに収容されていた。日本人の子を持つサニーは、収容所から解放されることを望んで、同センターで被収容者が行っていたハンガーストライキに参加していたとされる。サニーの両親は来日中だが、メディアの取材には応じていない。一方、法務省は現在、同件について「調査中」としている。内部調査チームが調べているとされるが、その結論を一般に公表することは予定していない。

3度目のハンガーストライキ

残念ながら、日本で命を落とす不法滞在者はサニーが最後ではないかもしれない。国内の複数の入国管理センターに収容されている約100人の不法滞在者が、5月上旬に始まった集団ハンガーストライキに参加しているからだ。

「2010年と2018年にも同様のストライキがありました。ですが、今回の参加者の決意は非常に固いものです。水を飲むことを拒んでいる人もいます」と、茨城にある東日本入国管理センター(牛久入管)の被収容者を支援する「牛久入管収容所問題を考える会」の代表、田中喜美子氏は話す。同氏は、毎週水曜日に日本最大級の不法移民の収容所である牛久入管に収容されている人たちの声に耳を傾ける。

7月26日、牛久入管の接見室は被収容者の面会に来た親類縁者や活動家、慈善家でにぎわっていた。数十人の日本人学生も、長い待ち時間と、狭量なお役所仕事にいら立ちながら、収容者たちと面会しようとしている。牛久入管で面会が認められるのは、収容者のブロック番号を知っている場合のみのだ。

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