工学部ヒラノ教授の事件ファイル 今野浩著

工学部ヒラノ教授の事件ファイル 今野浩著

金融工学の大家が学部長になっていたら平の(ヒラノ)教授の自称は使えなかったはずだが、大学の生態学を軽妙洒脱に語って著者の右に出る者はいない。ここまで書いて大丈夫かといつも思うけれど、今回は「A教授」「B学部長」と抑えた個所が多く、筆禍事件にはならないだろう。おかげで人名を推測する楽しみが増えた。

出張経費の二重取り、経歴詐称、賄賂、単位略取、セクハラとアカハラ、論文盗作とデータ捏造などといった最高学府にあるまじき犯罪や生臭い人間ドラマの数々が紹介される。あきれ憤慨し笑ってしまう諸事件の背後には、大学に生きる人々の悲哀と大学の宿命が深くかかわっていて、同情すべき余地もあり「制度も問題だね」とつい言いたくなる。理系文系の中間で活躍してきた実績が内容に幅と含蓄を与えており、日本のコンピュータがハード偏重ソフト軽視に陥るそもそもの逸話も面白いし、原発事故と原子力工学の終章も示唆に富む。(純)

新潮社 1575円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 埼玉のナゾ
  • 日本野球の今そこにある危機
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 僕/私たちの婚活は今日も終わらない
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
最新! 危うい会社リスト<br>7つの指標で徹底解析

高成長会社と危ない会社は紙一重。業績順調な企業も先行きは安心できません。突然巨額赤字に陥る、そもそも行き詰まっているなど、将来リスクを抱える会社を多様な切り口でリストアップしました。7つの指標であなたにも見分けられます。