国税局の税務調査の実態とは 相続増税がやってくる!
「特に注意したいのは“名義預金”」(大手税理士法人のある税理士)。親が相続財産を少しでも少なく見せようとする場合、預金を分散して、名義のみ子や孫に変える。ところが通帳や印鑑は親が保管している、というケースだ。
調査官は税務調査に入る前に、財産状況を入念に下調べして来る。金融機関向けにも調べる権限があり、それも数年分をチェックし、少しでも不自然な事象が見られれば、見逃さない。 例えば、500万円の定期預金が満期を迎えて下ろされていたり、途中で解約されていたりしたら、そのカネがどこに行ったのか。銀行では通帳や伝票を10年間保存しており、調査官は印影や筆跡まで調べているのだ。つじつまの合わない説明をすれば、矛盾点を鋭く突いてくる。
結果として、課されるペナルティは、原則2種類。「過小申告加算税」か「重加算税」だ。前者が計算ミスなど不正ではないもので、後者が意図的に少なく申告するなどより悪質なものである。税率の方も、申告漏れした金額に対し、前者は10%、後者は35%の加算税がかかる。
もっとも現実には、「修正申告」という方法で、加算税がかからない前の段階で済ますことが多い。“自主的に”当初行った申告を修正するもので、不足していた税金分のみを後から納めればよし、というやり方だ。そこには、正直に見直した者には反省の機会を与えるという、税務行政の方針がある。
税理士選びも重要、OB税理士と試験税理士
そうしたプロの調査官を前に、いくら素人だけで税務調査の対策を練っても、効果は薄い。やはり重要になってくるのは、税理士選びだろう。
ちなみに税理士は全国で約6万人いる。うち半分が税務署出身のOB税理士だ。税務署に23年間勤めれば、指定研修を終えるだけで、国家資格である税理士試験が免除される。
ではOB税理士と試験税理士のどちらがいいのか。