東電を刑事告訴、原発事故の責任を問うには裁判しかない--弁護士・河合弘之

──こうした訴えを起こす意義は。

福島第一原発事故はなぜ起こったか、法律上で言うと、善管注意義務違反、社会的に言うと「手抜き」の状況やそれによる損失について、裁判が行われるのは初めてだ。どういう過失があって事故に至ったのかということが争点となり、正式な場でそれが審議されることになる。

──つまり裁判を起こさないと、原発事故の責任を追及するのは難しい。

数々の事故調査委員会があるが、まず政府の事故調は強制権限を持っていない。国会事故調には証人喚問で関係者を呼び出す権限はあるものの、公聴会の証人喚問は透明性があっても、真実に迫る力が弱い。関係者はとにかく2時間「知りません」「忘れました」と言っていれば済んでしまう。刑事捜査であれば、「忘れました」はない。刑事が脅したりすかしたり、情に訴えたりして落としていく。それをやらないと、本当のことは言わないだろう。

──告訴が東電に与える影響は。

普通の市民感覚を持っていればそうとうダメージを受けるはずだが、あの人たちは鉄の心臓を持っているから蛙の面に小便かもしれない。それでも、刑事事件が動き出せば震え上がるだろう。

検察や警察がどの程度動くかは、国民の関係者に対する処罰感情がどれだけ強いかによると思う。それには世論が盛り上がる必要がある。

かわい・ひろゆき
1968年東大法学部卒。ビジネス弁護士として活躍する傍ら、浜岡や大間原発差し止め訴訟弁護団長なども務める。

(聞き手・倉沢美左 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年6月30日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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