環境省の大罪 杉本裕明著
実は今ほど、官僚にとって居心地のいい時代はないのではないか。本書は環境省を俎上に載せ、その現実を描き出してみせる。
「政治主導」は、族議員はもちろん、省庁間の折衝をなくし、同時に権限が集中するはずの政務三役もほとんどが実務に疎い。むしろ今まで以上に官僚の振り付けどおりに動く。そして巨額の復興予算がついた。
かつての弱小官庁が、東日本大震災によって巨額の利権を手にする。「エコ」という言葉の裏側で「環境マインドなき環境官僚」では、どうしても震災がれき処理や除染事業が遅れる。それでも、専門家不在の「原子力規制庁」を傘下に入れて、何をしようとするのか。
怖いのは、跋扈(ばっこ)する官僚のモラルハザードだ。省内の検討会や研究会は、目的をかなえないためのアリバイ作りで設置するのがしばしばだという。その詳細を本書は眼前に見せつける。もう一段の行革は必要不可欠と誰もが納得させられるだろう。
PHP研究所 1890円
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